藤井三冠が逆転で竜王戦第1局制す 年内四冠へ好発進 豊島竜王との対戦成績は五分に
将棋の藤井聡太三冠(王位・叡王・棋聖)が豊島将之竜王に挑む第34期竜王戦七番勝負第1局2日目が9日、東京・渋谷区のセルリアンタワー能楽堂で指され、藤井三冠が123手で勝利。年内四冠達成に向けて好発進した。
王位戦、叡王戦に続き、今年3回目となる豊島竜王とのタイトル戦。藤井三冠は先手番となり、戦型は直接対決では5局連続となる相掛かりに進んだ。1日目からじっくりした戦いとなったが、形勢は徐々に豊島竜王に傾き、1日目終了時点でやや豊島竜王が指しやすいとみられていた。
2日目も豊島竜王が若干、リードを保ったまま進んでいたが、終盤の入り口付近で豊島竜王に誤算があったのか、藤井三冠が逆転。持ち時間が少なくなった終盤戦は形勢が揺れ動くギリギリの戦いとなったが、藤井三冠が鋭い踏み込みで優位を拡大し、最後は大差で押し切った。
局後は対局を振り返り、「飛車の配置が悪いので、失敗したかなと思っていました。(2日目も)金が上ずってしまっている分、常に自信の持てない展開だと思っていました」と苦戦を意識していたことを告白。それでもしっかりと逆転勝ちを収めたことに「自信の持てない局面が長かったんですけど、その中で粘り強く指せたのかなと思います」と安どの表情を浮かべた。
普段の対局場とは違う能楽堂での対局には「普段以上の緊張感がありました」。その上で「1勝することができたので、次局以降も全力を尽くすことができればと思います」と、あくまで淡々と語った。
これで藤井三冠は、豊島竜王との対戦成績を9勝9敗の五分に。公式戦で初手合いから6連敗を喫し“天敵”と称された相手を、完全に克服してみせたことを証明した。
将棋界ではこれまで、四冠同時保持者は、大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人、米長邦雄永世棋聖、谷川浩司九段、羽生善治九段の5人のみ。10代にして究極のレジェンドに肩を並べるべく、四冠達成への第一歩を踏み出した。
(よろず~ニュース編集部)