非よしもと芸人の救世主「BAR舞台袖」主催者が見る今年のM-1 コロナ禍で変化したお笑い

2021年も暮れに押し迫り、お笑いファン達にとって事実上の大晦日である「M-1グランプリ」決勝戦(12月19日ABC系列)が近づいてきた。今年の決勝メンバーが発表されファンは大いに沸いたが「しかし、誰…??」という声が多かったのも事実。この差は何故生まれたのか。大阪で非よしもと芸人イベントを主に企画開催している「BAR舞台袖」主催者の加藤進ノ介さんにお話を聞いた。

 --BAR舞台袖を始められたきっかけは?

加藤:2年半ほど前、サラリーマン生活が「おもろないな」となり辞めてしまったんです。元々お笑いが好きでNSCも卒業していたので、お笑い好きが集まるバーを始め、イベントも開催するようになりました。

 --芸人さんって、売れるまで生活が厳しいイメージですが…。

加藤:そうなんです。舞台袖を始める時に少しでも支援になればと、芸人はドリンク無料にしようと思ったんです。でも芸人さん達から「無料やと逆に頼みづらいわ」と言われて、今は何杯飲んでも好きな金額払ってくれたらいいよ、って感じにしてます。

あと、イベント開催時には照明や音響をうちのスタッフでやることで人件費削減し、ドリンク代も出演した芸人に還元するようにしていて、少しでも沢山お金を芸人さんに回す工夫をしています。おもろいのに生活が苦しいのはおかしいですもんね。

--今年のM-1は過去一番、非よしもと芸人が多い大会となっていますよね。普段テレビにあまり見ない芸人さんが多い印象で、お笑い文化の転換期であるように感じます。

加藤:YoutubeやTikTokなど娯楽が細分化されて、若者の間からメジャーカルチャーが無くなったんじゃないでしょうか。何となくテレビをつけてお笑いを見てる層が減って、本当にお笑いが好きな人だけが残った結果、サブカル化したと感じてます。

そういう人は30年前に真空ジェシカやモグライダーを見ても、面白いと思ったのではないかなと。実際劇場に来たり配信を見てきたお笑いマニア層が支持してきた芸人達が年に一度メジャーシーンに引っ張り上げられるのがM-1だと思っているので、驚く人も多いかもしれませんね。

 --年に1度真剣にお笑いを見るような人達がランジャタイを見たらびっくりするかもしれないですね。楽しみです。東京ではお笑いの劇場がどんどん増えてますよね。

 加藤:芸人さんって驚くほど緻密な計算でネタをやってるんですよ。会場によって声の大きさや、反響で間の取り方を変えたり。それは場数やらないと分からないことなので、会場で何回ネタがやれるかというのは本当に大切なことなんじゃないかなと。劇場が増えネタをやる機会が増えたことも、今回のM-1決勝が過去1番非よしもと芸人の多い大会になった原因の一つなのかもしれないですね。

--コロナ禍でお笑い界が変わったというようなことはあったのでしょうか。

 加藤:配信チケットの販売開始で、お笑いマニアが通っていた劇場イベントが、劇場に来た事が無い人や劇場の無い地域の人たちにも手軽に行き渡りファン層の拡大に繋がりました。そこから更にSNSで拡散されることで、個々の芸人たちの知名度向上に繋がったんだと思います。

 ◇ ◇

これまで大阪は”お笑いの街”と呼ばれてきた。しかし今、お笑いの中心地は芸人が自由で個性的なイベントを企画できる東京に移ろうとしている。現在、BAR舞台袖はキャパ約100人の2号店の開業を予定しているが、ここ盛り上がるか否かがお笑いの街・大阪の岐路になるのではないだろうか。

(よろず~ニュース特約・ゆきほ)

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