各地で大ウケ 異色の格闘ゲーム「武力ONE」の魅力 独自のボタン&レバー位置、萌え文化を無視
アーケードゲームには家庭用ゲームに移植されていないものも数多い。その代表例が1999年に稼働開始したSNKの格闘ゲーム、いや格闘技ゲーム「武力 ~BURIKI ONE~ WORLD GRAPPLE TOURNAMENT '99 in TOKYO」だ。格闘ゲームファンの間で「武力ONE(ブリキワン)」と呼ばれカルトな人気を誇るこのゲームはとにかく個性が強烈だ。
まずボタン、レバーの配置。ふつう格闘ゲームは左側のレバーで移動、右側のボタンで攻撃と言うのが一般的。しかし武力ONEは左側のボタンで移動、右側レバーで攻撃する。この時点で何かがおかしい。漫画家がゲームコントローラーを左右逆に描くだけで「アケコン(アーケードコントローラー)が武力ONE仕様」などとツッコまれてしまうほどこの仕様は「武力ONE」ならではのものとして認識されている。
この仕様の利点はレバーを前方に倒すとジャブ、斜め前に倒すとハイキック、斜め下に倒すとローキックと言った具合に、レバーの動きとキャラの動きがダイレクトに直結すること。「自分が狙ったところを攻撃してる感」が味わえるのは武力ONEの大きな魅力である。レバーで攻撃するため、レバー操作ミスがそのまま致命傷になる。格闘ゲーマーには正確に入力するメンタルの強さが求められ、他のゲームよりも臨場感や緊張感を生むシーンが多い。
登場キャラクターも個性的だ。1999年と言えばすでに萌え文化が一定の支持を得ていたはずなのだが、「武力ONE」はそれを全く無視した舵の取り方をしており、キャラクターは空手家や相撲取り、ムエタイやテコンドーの使い手など屈強な男性ファイターばかり。女性ファイターは登場せず、唯一の女性キャラクターはゲームオーバー画面に登場するラウンドガールのみ。筆者個人的にはアントニオ猪木がプロデュースした異種格闘試合「格闘技世界一決定戦」に近い印象を感じている。
そんな独特の魅力からマニアの間で細々と愛され続けてきた「武力ONE」が近年、再注目を浴びつつあるようだ。
今年7月、ゲームサークル「山陰ネオジオ研究室」がSNKeスポーツの公式サポートを受けて島根県江津市の町おこしイベント「ごうつホビー祭り」にゲームブースを出展したところ子ども達に大ウケ。
SNS上で「令和の時代に少年達が武力ONEで狂喜wwww」「武力で遊ぶ子供たちの姿や武力経験者の方に出会えるなど(山陰)西部恐るべしです。」などともてはやされた。
また大阪・南森町のゲームセンター「コーハツ」や東京・高田馬場の「ゲーセンミカド」では対戦会も企画されている。筆者も11月27日に「コーハツ」で開催された大会に足を運んだが、さまざまな地域から11人ものファンが参加して、手に汗にぎる闘いが繰り広げれられていた。
ファンたちが独自に操作法等を解説したコマンド表を作り、店舗に置いてもらうなど布教活動してじわじわとファンの輪を広げているのだ。
他の格闘ゲームにはない魅力があることは確かなので、なにかもう一押しのアクションがあればきっと人気に火が付くと思うのだがどうだろう。本記事を読んで興味を持ってくれた方はぜひ一度最寄りの「武力ONE」が稼働しているゲームセンターに足を運んでプレイしていただきたい。
◆大阪南森町ゲームセンター コーハツ KO-HATSU
所在地:大阪市北区天神橋2-2-21 コーハツビル1F
(よろず~ニュース特約・野中 比喩)