RPGみたいな巨大斧を本当に作った会社が話題 「#巨大斧アゲマッチョ」 「マッチョ戦士求ム!」
RPGやファンタジーの世界でよく登場する、ありえない大きさの武器。我々が生きている世界線で実際に存在したらどうだろう?
今、SNS上ではみんなが抱いたことのあるそんな空想を実現してしまったという投稿が大きな注目を集めている。投稿の主は兵庫県高砂市で看板製作、プラスチック加工やファンタジー武器造形を手がける(株)匠工芸代表の折井匠さん。折井さんは広島県福山市の金属部品製造会社、株式会社キャステムとのコラボレーションで、なんと31kgもある巨大斧(ゴッドデスギア)を作ってしまったのだ。
夢のゴッドデスギアを作ったものの、重すぎて持ちきれなかった折井さんは「装備できるマッチョ戦士求ム!」とハッシュタグ「#巨大斧アゲマッチョ」を拡散し、神戸のコスプレイベント「かみこす!」にゴッドデスギアを出展。その姿に、SNSユーザー達からは
「選ばれし者にしか使えないまさしく勇者の斧」
「あの、もし持ってみたいってなったら挑戦できますか?笑
ちょうど今重い斧探してて…」
など、まるでファンタジー世界さながらのコメントが寄せられている。
12月25日開催の「かみこす!」に足を運び折井さんにお話を聞いた。
野中:ゴッドデスギア製作のきっかけをお聞かせください。
折井:はじめ、匠工芸のSNSにプラスチック製ゴッドデスギアの写真を投稿しました。それを目にしたキャステム代表取締役の戸田氏が「これ金属にしたら面白いんじゃないか」とメッセージを送ってくださり、担当者の桃井が直ぐに「いいですね!やりましょう!」となったんです。私と桃井でゴッドデスギアを持参してキャステムを訪問しお話したところ、モノづくりに対する熱い情熱から意気投合。2020年の年末にTAKUMIARMORY(匠工芸のファンタジー武器造形ブランド)の武器金属化プロジェクトが始動しました。
野中:両社のモノ作りの熱意があってこその巨大斧だったのですね!私も巨大斧アゲマッチョイベント2日目に来場中ですが、 1日目はいかがでしたか?
折井さん:非常に良かったです!SNS上でハッシュタグが大量に拡散されたので、その投稿を見た方々が沢山来場されました。中には持ち上げるのではなく、写真を撮ったりするためだけに来場した方もいました。なにより、多くの方に日本のものづくりの造形美を見てもらうきっかけとなったことが非常に嬉しかったです。
野中:盛り上がりは私もTwitterで見ていたので、1日目も来たかったと悔やんでいました。
折井:キャステムの藤原氏、大重氏も広島から駆けつけてくださいました。自分たちで制作したものが世の中でどのような反応を起こしているかを、実際に生で見ていただくことができて良かったです。
「コスプレイベントに全然違うジャンルの巨大斧アゲマッチョイベントというものを持ち込んで開催してもいいものか?」と非常に悩みましたが、「かみこす!」主催のワタナベフラワー・ムサ氏から「いろんな好きが集まって、サブカルチャーらしくていいと思います!」と言っていただけたのがうれしかったです。「コスプレイベントだからと言って、コスプレだけじゃない。みんなの好きや楽しいがそこに同居してていいんだ」と感じました。マッチョなキャラクターのコスプレでチャレンジしてくれた人もいて、結果的にはイベントにマッチしたのではないかと思っています。
中には犬の散歩中に犬に持たせて記念撮影をする方もいて、私たちが想像もしなかったイベントの側面が見えました。
特に印象に残った挑戦者はパワーリフティング日本第2位でイラストレーターの斎藤さん。本番の試合用の腰用のベルトとリストバンドを装備して臨んでくれ、驚きましたが本当に面白かったです。
野中:本日2日目はいかがでしょうか?2021年12月で一番寒い日ですが…。
折井:突風、極寒の中、金属の斧が信じられないほど冷たくなっていました。私たちが作るプラスチック製の造形ではこの冷たさは経験したことがなかったので驚きです。ですが今日もたくさんの方々がチャレンジに来場してくださいました。みなさん「持ち手が冷たい」などと言わず、楽しんでいただいております。
野中:私も持たせていだきましたが、突風で横に流される巨大斧との戦いで燃えていたので、持ち手の冷たさはあまり気になりませんでした。
折井:主催のムサさんが360度発光の投光器を2本と、LEDテープも貸してくださり、ブース自体がかなりテンションの高いパリピマッチョブースになったことで、暗くなってもたくさんの方々が来場してくださいました。キャステム大阪支店の従業員の方も「楽しそうすぎてきてしまった」と日中に来場してくださり、イベントの模様を見て大興奮していたのが印象的でしたね。その方は新入社員で、これまで扱った商品は手のひらサイズの部品ばかりなので、自分の勤めている会社がこんなに大きく、ワクワクするものを作ることができることを知ってとても驚いていました。
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イベント大成功で大満足の折井さんだったが、帰途は「ほかの展示物と併せてハイエースに荷積みをして帰るのが本当に大変でした」とのこと。日頃からリアルRPGの世界を再現するアイテム作りに熱心な折井さん。今後の創作活動から目が離せない。
(よろず~ニュース特約・野中 比喩)