部下から「コロナ陽性になった」報告 感染の負い目を楽にする言葉とは 大人研究家が解説
コロナ禍になって2年が過ぎたが、オミクロン株の世界的な流行で日本でも感染者が急増し、職場や学校、家庭などでも感染が広がっている。職場の同僚や部下から「コロナ陽性になった」と報告されることも、これまで以上に現実的になっている。そんな時、あなたならどうする?「大人研究」のパイオニアにして第一人者、『大人養成講座』『大人力検定』など多くの著書を世に送り出してきたコラムニストの石原壮一郎氏が「大人の切り返し講座~ピンチを救う逆転フレーズ~」と題し、その対処法をお伝えする。
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【今回のピンチ】
「部下から『コロナの陽性が判明して、来週いっぱいは会社に行けません』と連絡が。忙しい時期なのに……」
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もはや新型コロナウイルスは、自分も含めて、誰がいつ感染しても不思議ではありません。しかし、療養期間が長いことや「コロナ」という響きのインパクトの強さなど、十分に「特別な病気」ではあります。
感染した当人はもちろんピンチですが、連絡を受けた上司も、能力や人間性が問われる大ピンチ。とくに「少し熱はありますが、たいしたことありません」と聞くと、つい気がゆるんで余計なことを口走りがちです。
その部下が長く休むことで仕事上のダメージがどれだけ大きくても、
「この忙しいのに感染してんじゃないよ。どうせ飲み歩いてたんだろ」
なんて責めたら、一瞬にして人望も信頼も消滅します。しかし、迂闊(うかつ)というか素直というか、そんな反応をしてしまう上司は後を絶ちません。「どこで感染したか心当たりはあるの?」という質問も、極めて不毛だし、確実に相手をムカつかせます。
まずは「とんだ災難だね」といったねぎらいの言葉は必須。「症状が軽くて何よりだけど、油断しないでしっかり療養してくれ」という決まり文句も、きっちり伝えましょう。決まり文句には、生じてしまう困惑や口に出せない本音を隠す効果もあります。
さらに、部下の状況に応じて、たとえばひとり暮らしなら「とりあえず誰かに食べ物を届けさせるよ」と、具体的に手を差し伸べるのも当然の対応。その上で、部下の気持ちを楽にするひと言を繰り出しましょう。
「ま、一種の厄落としだよ。その分、きっといいことがあるから心配すんな」
「ある意味、社会を支えている一員としての勲章みたいなもんだよ」
どちらもやや意味不明ですが、力強くこんな言葉をかければ、部下はホロリと来て「この人についていこう」と思ってくれるはず。少なくとも自分の中で、「オレ、いいこと言ったよね」という満足感は味わえます。
(コラムニスト・石原 壮一郎)