人気声優・小林裕介 声優を目指す人へ「親には頼れと伝えたい」下積み時代の金銭的苦労明かす 

 アニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」のナツキ・スバル役「Dr.STONE」石神千空役などで知られる人気声優・小林裕介(36)が、身近にある「アレ」に対して勝手に人格とキャラボイスをあてる擬人化プロジェクト「CV部」の動画シリーズ「【CV:小林裕介、村川梨衣、逢坂良太】#65 コンパクトニュース」が25日から配信された。その収録の際、取材に応じた小林は自身の4年に及んだ下積み期間の経験から、声優業を目指す人に向け「親には頼れと伝えたいですね」と話した。

 小林は声優に憧れていた高校生のころ、キャラクターの必殺技やその前後のセリフを頻繁に真似していたという。通学中、テープレコーダーに録音した自身の声を何度も聴き直し練習を重ねた。特に声優を目指すきっかけにもなったアニメ「らんま1/2」に関しては「『飛竜昇天破』『爆砕点穴』など一通りコンプリートしましたね」と笑顔を見せた。

 大学進学後、家族の反対もあり一度は声優の夢を断念。就職し社会人となったが諦めきれず、24歳から並行して専門学校に通い始めた。「仕事のストレス発散という意味合いも強かったですね」と振り返った。年齢的な不安があったが、周囲の後押しもあり退職を決意。本格的に声優への挑戦が始まった。

 小林が新人のころ、受けられたアニメオーディションは1年でわずか2、3回程度だったという。2014年に放送されたアニメ「ウィッチクラフトワークス」の主人公・多華宮仄役を掴み取るまで、オーディションを落ち続ける日々が約4年間続いた。舞台で芝居を学びながら週5日のバイト生活。事務所に所属して以降は、時間の融通が利く深夜の飲食店で8~9時間働いた。「今思えばだいぶ身を削っていましたね。朝7時にバイトをあがった後、漫画喫茶でシャワーを浴びて、2時間仮眠を取って10時からの現場に行く日もありました。家に帰った方が電車代がかかってしまうんです。1時間かかるスタジオまで歩いて向かうなど、とにかくお金を節約する生活でした」と振り返った。

 小林は金銭面と肉体面どちらに優先度を置くかしっかり考えるべきだと話す。当時は結果が出ない中でも、いつも通りに接してくれる親の優しさがかえって辛く感じ、殻にこもることもあったが「今だから分かるんですけど、親御さんの優しさに甘えることは僕は決して悪いことではないと思います。後々ちゃんと返せばいいってだけなので。だからこそ、親の反対を押し切って目指すよりもちゃんと説得して、納得してもらった上で目指すのが僕は大事なポイントだと思います」と熱弁した。専門学校時代、親の反対を押し切って学校に通っていた人もいたが、「実際に業界に入ると、今も親と仲が良い人たちの方が多いですね」と語った。

 登録者数22万人を超えるYouTubeチャンネル「CV部」の動画では、「カオス」「シュール過ぎる」とツッコミどころ満載の脚本と、人気声優の演技が好評を博している。25日に公開された「【-コンパクトニュース」で小林は、車・アクアとアナウンサー役をアテレコ。情報バラエティー番組のアナウンサーに対し、各ロケ先にいるアクア・ルーミー(村川梨衣)・ヤリス(逢坂良太)の3台がボケ続ける内容となっている。当初、アクアはギャグっぽく演じるつもりだったが、村川、逢坂の演技を聴き、方向性を変えた。「皆さんフレッシュだったので、ひとりだけ浮くなって思って。チャラ男のイメージからまっすぐ元気なキャラに修正しました」と笑顔を見せた。「物体」である車を「人」として演じたといい「ヘンテコなキャラにしすぎると商品イメージに関わるなと思っていたんですけど・・・お二人の演技の勢いにもつられて結局そこはあまり守らなかったですね」と破顔した。

 動画の魅力を一言で表すと「考えるより感じろ」と答えた小林。「何も考えずに見ていただいて『おもしろかった』でいいです。ふと思い出した時に『もう1回見てみようかな』となる中毒性があると思います。たぶん見れば分かると思うので、とにかく見てください!」と呼びかけた。

(よろず~ニュース・松田 和城)

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