女性が活躍するネトフリ「金魚妻」今だからこそ楽しめるドラマ 見惚れるベッドシーンも
ハリウッドで2017年から始まったMeToo運動の力もあり、世界では男女平等を訴えるべく女性が主人公もしくは多くの女性が活躍する映画が製作されています。その影響は現在公開中の米スパイアクション映画『355』でも如実に表れており、女優でもあるジェシカ・チャステインが男性ばかりのアクション映画ではなく、多くの女優陣を起用出来るアクション映画を目指して自らプロデューサーとなって製作されたものでした。
そう考えるとまだまだ日本は男性主体の作品が多く、男性が理想とする女性像を物語に映し出しがちです。そんな中、全世界配信のNetflixが、累計300万部を超える黒澤Rの同名漫画を元に、妻達が夫からの抑圧された生活から自らを解放するシリーズ「金魚妻」を製作。全8話となる本作は、篠原涼子、中村静香、瀬戸さおり、石井杏奈、松本若菜、長谷川京子と全てのエピソードの番手は女優陣が一番手で、共演に岩田剛典、安藤政信、久保田悠来、藤森慎吾、犬飼貴丈、眞島秀和、深水元基と続いています。
物語はタワーマンションで暮らす妻達を軸に、夫(安藤政信)からのモラルハラスメントやDVに苦しむさくら(篠原涼子)が金魚屋の店主(岩田剛典)と出会い、禁断の恋に踏み込んだ結果、自ら未来を切り開いて行く様子や、それぞれの妻達が夫との関係で苦しみ、やがて解き放たれていく姿が描かれていきます。
主人公の女性達の夫は、DV夫だったり、浮気をしていたり、SEXに対して特異な性癖があったりするのですが、モラハラやセックスレスという日常に潜む問題の中で、男性の理想とする妻像から彼女達が心も身体も脱皮していく物語は、女性を「個」として描いた斬新で解放的なものでした。それゆえ本作はベッドシーンが多かったものの、Netflixはセックスやヌードシーンなどの専門家であるインティマシー・コーディネーターを早くから採用しており、センシティブシーンの撮影に入る前からインティマシー・コーディネーターが俳優達の相談に乗り、精神的負担を軽減させる処置を行った上でシーンに挑んでいたとのこと。
確かに、時に暴力的であったり、時に優しさに包まれるようなセックス描写だったりと、様々なセンシティブシーンがあった本作ですが、丁寧なカメラアングルでどれも嫌悪感なく、中には見惚れるベッドシーンもあった「金魚妻」。大人の女性達が主役として活躍することが出来、大人の女性達が見たくなる作品を、という日本の製作スタッフの願いは、1983年に放送され、お茶の間の妻達を魅了したドラマ「金曜日の妻たちへ」とはまた違う大胆なアプローチで、今だからこそ女性達が楽しめるドラマとして生み出された気がします。
(映画コメンテイター・伊藤さとり)