奇跡のサブカル系塗料・ウレヒーロー発売「液体金属のターミネーター」と話題 プラモ、コスプレファン待望

「ウレヒーローメッキ調すげー!! 全然割れなかったです」

昨年11月、ゴム手袋にメッキ塗料を塗った模様をおさめた動画がSNS上で注目を集めた。経験のある方ならわかると思うが、ゴム素材に塗料を塗ってもひび割れたりはがれたりして安定させるのは至難の業。この奇跡の塗料「ウレヒーロー」の実力を知らしめる動画に、SNSユーザー達からは

「液体金属のターミネーターみたい…!」

「これってコスプレ衣装に使えないんですかね?」

といった感動のコメントが多数寄せられた。この時点でウレヒーローは工業用の用途でのみの販売だったが、今年3月にいよいよ一般向け製品が発売されるようだ。

ウレヒーローを製造する斎藤塗料株式会社の菅さんに話を聞いた。

野中:ウレヒーローはどのような経緯で誕生したのでしょうか?

菅:ウレヒーローは元々印刷機のゴムパーツの保護コーティング剤として誕生しました。その為、性能としてゴムに密着する力と伸縮柔軟性を突き詰めた形になります。

野中:正直びっくりしました。私もコスプレをしているのですが、ウレヒーローを使えばこれまで再現が難しかった衣装がいろいろ作れるんじゃないかと希望が持てました!塗料なので強度も増しそうですし。

菅:ウレヒーローは、今まで塗装できなかったものに塗装ができるようになることで新市場を開拓してきました。今回のサブカル系塗料になるまでの歴史を簡単にご紹介します。

当初は工業用として、ゴムをはじめとする柔軟素材用塗料として活躍しました。例えば、人工臓器やゴムボールなどです。加えて、ゴムに密着する力に期待されて、密着の難しいプラスチックへと展開されていきました。

野中:確かに塗料は剥がれやすいというイメージです。プラスチックの次は…?

菅:登山用ステッキに使われるウレタンスポンジグリップです。そもそもスポンジグリップに塗装するという事は不可能でした。しかし、ウレヒーローを使うことで着色が可能になりました。

野中:吸音材とか自宅簡易スタジオとかも中可愛くできそうですね!

菅:現在のコロナ禍において、アルコールで持ち手のグリップを消毒する方が増えていますが、それによってスポンジグリップの素材がモロモロと劣化してしまうという問題もでてきました。そんな場合にもウレヒーローを塗れば塗膜がスポンジグリップを保護してくれます。

野中:ウレタンスポンジの劣化とか考えたこともなかったですが、アルコールでいろんなものも変色や劣化しますものね。

菅:さらに、今後の展開として登山用のステッキのグリップにも活用できないかテストも進んでいます。日本の雪は水分量が多く、従来のグリップでは雪に含まれる水分が染み込んでしまい、グリップが凍ってしまい手袋越しでも凍傷するリスクがあります。その対策として、ウレヒーローの水を弾く撥水性が注目されています。

ウレヒーローは塗膜がツルツルしているため雪をはじきます。それがグリップの凍結防止に繋がれば多くの登山者の課題解決に繋がるのではと期待されています。

このように医療メーカー、ゴムメーカー、スポーツメーカー、ガラスメーカーとウレヒーローは1つの業界に留まらず多くの市場を切り開いております。そんな中、今回SNSで注目をいただいたのが、ホビーやコスプレというサブカル造形の分野です。

ホビーは近年「子供のおもちゃ」から「大人のコレクション」へと用途が広がり、軟質パーツや特殊素材が多用されクオリティが格段に上がっています。ですがその分、塗装によるカスタマイズやリペイント、補修が難しくなっていました。

コスプレ造形については、様々な柔らかい素材に密着し追従する塗料と言うのが現状定まっておらず、表現したい造形を諦めたり、必要以上の手間がかかっている現状でした。

野中:私も刀や装飾品の伸縮する部分での塗料にいつも困ってました。

菅:そこで注目されたのが「ウレヒーロー」です。今後は工業用の枠を飛び越え、ホビー、コスプレの造形を支える救世主になれるよう「サブカル系塗料」として活躍していきたいと考えております。

ゴム手袋の動画も元々開発内でもこれは絶対に面白いと話題になっており、投稿後の反響に社内のみんなで喜んだのをよく覚えております。性能で驚きを与える事ができたことはメーカー冥利に尽きます。

そして、やはり多くのコスプレなどの造形の方が「今までやりたかった表現ができるようになる!」というお声をいただきそういった声を実現できるよう製品化を急がねばと思った次第です。

野中:開発にあたり苦労されたことはありませんでしたか?

菅:メッキ調塗料の元来のセオリーとして、「3コートという3層塗り」が基本です。

しかし、ウレヒーローのメッキシルバーを開発した際には、それを「1コート、一度塗り」で実現したいと開発を進めその実現が最も苦労しました。

ホビーというのは元来子供のためにあると考えておりまして、お子様が親御さんと塗装に挑戦した際に、3コートだと失敗する可能性がかなり高い。しかし、1コートだとそのハードルが3分の1になると考えました。子供がホビーのカスタマイズに触れた際に、「自分でこんなにピカピカに出来た!」という成功体験を積み、それが今後のサブカル文化の発展に少しでも繋がれば幸いと思っております。

◇ ◇

ウレヒーローは東急ハンズ新宿店にて3月上旬より販売予定。また自社サイトでの販売も近日公開予定。その他にも全国展開を目指し営業活動を進めているそうだ。

昭和2年に創業した斎藤塗料の社是は「あらゆる壁を突破するのは技術力である」。そこに今年に入り「『Design&Development』で新市場創出に挑戦する」という新理念も加わったという。塗料の開発を通し日本のモノづくりの発展に貢献する斎藤塗料。今後のさらなる展開に期待したい。

(よろず~ニュース特約・野中 比喩)

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