「猫と共生する理想の街」をネット上に建設!女優・川上麻衣子に聞く「にゃなか構想」クラファンも実施
「猫と人が共生し、情報交換できる理想の街」をネットの世界にも作りたい。一般社団法人「ねこと今日 neko-to-kyo」の理事長で女優の川上麻衣子はこの目標を掲げ、企画の実現にかかる費用をまかなうために、猫の鳴き声にちなんだ2022年2月22日の「スーパー猫の日」から60日間のクラウドファンディングを続けている。川上に「猫と人の共生のためのプロジェクト」構想を聞いた。
10代から芸能活動で多忙な日々を送った川上にとって、猫は1人暮らしの心を癒やしてくれるかけがえのない存在だった。2016年に「ネコの街」として知られる東京・谷中(やなか)に生まれ故郷スウェーデンのセレクトショップを開店。来店客から保護猫の問題や老猫の病や看取りへの不安、ペットロスといった悩みを聞く機会が増えたことから、19年に「ねこと今日Neko-to-kyo」を仲間と設立。活動拠点として谷中にサロン「まいの間」を開設し、「猫の飼い主として、プロを目指そう」をモットーに、専門家から学ぶ「キャットアカデミー」などさまざまなイベントを行ってきた。
20年には保護猫ボランティア団体への譲渡会場を提供し、現在までに600匹を超える保護猫の譲渡が成立。同年末、仕事先の地方で新型コロナウイルスに感染した体験が今回の企画につながった。
「コロナ感染が判明した私は、愛猫を自宅に残したまま、2週間の隔離を余儀なくされました。この時、解決の糸口を見つける情報があまりにも少なく、遠く離れた土地で途方にくれた経験から『猫の飼い主のために特化した情報網をつくりたい』と切実に考えるようになりました」
ネット上の「理想の街」は谷中にちなんだ「にゃなか」と命名。川上は「皆さんが情報交換できる場を作り、そこには専門家の先生方の助言も得られる心強いまちづくりを目指しています。『にゃなか』で、まずは10万匹の猫を目標に住民登録を増やしていきます。たくさんの猫さんの情報、そして、その飼い主さんが経験した猫との体験が、さまざまな猫や人を救ってくれます」と説明した。
「にゃなか」のイメージ図も作成した。そこには七つの「施設」が役割を分担。川上がそれぞれの内容を解説した。
「(1)【シビックセンター市役所】飼い主さんの情報交換、保護猫地域猫情報などです。(2)【虹の橋のたもと(メモリアルパーク)】旅立った猫たちも住民登録できます。橋のたもとで待っている猫たちの島があります。ベットロスなど、寂しさを分かち合える仲間との触れ合いも作ってほしいと思っています。(3)【猫の健康相談所】病院では聞けないこと。わからないことも。日々の不安など。『にゃなか』の街では獣医師の先生も見守ってくださるので、セカンドオピニオンとしての相談も受け付けます。また腎臓病など、実際に経験した飼い主さんの対策も貴重な情報として募りたいと考えています。(4)【学校(教育機関)】既に開講したアカデミーを単発で受講していただいたり、深く学びたい方のための授業を行います。(5)【サテライトスタジオ】YouTubeでの『毎日がネコ曜日』の配信を続けていきます。(6)【ニャントラルパーク】猫をたくさん見ることのできる公園を作ります。もしかしたら猫の集会が見られるかも。(7)【ショッピングモール】猫のための商品開発をするとともに、猫に優しい商品を紹介。購入もできます」
クラウドファンディングの目標金額は300万円。ゴールは4月21日となる。川上は「3月7日で(金額の)半分を達成しました。日々、皆様に感謝です。わたしにとっても初めての挑戦で、本当にありがたく、うれしい気持ちと、責任を持って必ず目標を達成して猫と人の共生のための活動を続けていこうと肝に銘じています」と手応えを示す。私生活ではココロちゃん(6歳・メス)、タックくん(5歳・オス)という家族と過ごす。
猫に関する行政の取り組みと課題点、日本の現実に対して海外での理想的な環境についても聞いた。
川上は「この問題は深いですね。現在、東京都との連携を組めるようスタッフとさまざまな提案をしています。動物はモノではない、と明記する外国に早く追いついてほしいです。私が生まれた国、スウェーデンの現状も取材し、参考としていきたいと思っています」という。まだ通過点。「にゃなか」という新たなプロジェクトが、人と共生する猫の環境を変えていく1つのきっかけになればと願う。
(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)