壇蜜のイチ推し地元めしは秋田発「みずたたき」 “ぱっと見、泥です”も ご飯のおかず、酒のつまみに
CS放送・チャンネルNECOの番組「旧車探して、地元めし」では、国産旧車だけでなく、地域に根ざした「ソウルフード」を紹介している。同番組に登場した食べ物に加え、主人公のカーディーラーを演じる升毅、第2話にゲスト出演した壇蜜が、よろず~ニュースの取材に対し、「人生における私の地元めし」を語った。
同番組は現時点で2話が制作され、2月の放送開始以来、3月もリピート放送中。さらに続編が制作され、6月以降に放送されることも決まった。今回の「地元めし」では、ご当地グルメと地元名物のパンや菓子が登場した。
第1話の浜松編では、たくあん入りのお好み焼き「遠州焼き」が登場。小麦粉、卵を使った生地にたくあんの細切り、紅しょうが、ネギを混ぜて薄く焼き、ソー スで味付けしながら両面を焼き上げて2、3回折り重ね、一口大に切ったらできあがり。たくあんの黄色、紅しょうがの赤、ネギの緑と「信号」のような3色が特徴だ。たくあん入りという独自性ゆえに、地域外の人が通常のお好み焼きと区別するために「遠州焼き」と呼ぶようになったという。例えば、だしにつけるタコ焼き「明石焼き」が地域外での呼び名(地元明石では「玉子焼き」)であるように。
浜松の名店「大石」(1949年創業)で遠州焼きとみそおでんを食べた升は「たくあんの存在感が!(笑)。自分の料理にも生かしていきたい」と感想を口にした。浜松では、地元で愛され続ける「富士ようかんパン」や「みかん最中」なども紹介された。
第2話の甲府編では、升と壇蜜が「汁だく焼きそば」発祥の店「成駒屋」(1958年創業)を訪問。壇蜜はソース色の汁につかった麺を口にして「焼いてないじゃん!焼きそば焼いてない~っていう」と衝撃を受けつつ、「(生まれ故郷の)秋田と似てますね。横手(焼きそば)も焼いてないそばですし(ゆで麺)」と指摘した。
升は「甲府市民に愛され続けて100年」という「丸十山梨製パン」のレモンパン、地元民が愛する惣菜パンの店「ずんちゃんパン」で購入した「たくあん入りパン」をほおばった。
同番組の新保和也プロデューサーは「今回の第1話、2話に共通する食材は『たくあん』です。弁当の端っこで無視されがちな黄色いアイツが、メニューのセンターに躍り出た食べ物ってご存じですか?」と着眼点を示す。新保氏は自家用車で岩手・盛岡のスーパーに入った時に「東京にはない菓子パンがずらりと並んでいて興奮を覚えた」ことから、「地方と都会には食文化は共通化してない点を、バラエティーではなくドラマとして見せたかったのが企画の発端。東京には届かないメニューや商品から選ぶことを制作陣にはお願いしています」と明かした。
出演者個人の思い入れのある「地元めし」も聞いた。升は「大阪のドテ焼きが大好きです。どて焼きラブです。おみそで筋をとろとろになるまで煮込んで。まあ、ぱっと見、泥みたいですけどね」と語り、大阪以外では「豊橋カレーうどん(豊橋)、雲丹クレソン(広島)」を挙げた。
壇蜜は「私の地元めしは断然『みずたたき』ですね。ぱっと見、食べ物じゃないです。ぱっと見、泥です。『これ升さんどうぞ』と言ったら、『いい…』って言うと思いますけど、(どて焼きと)泥つながり!」と、聞き慣れない名称の食べ物を推した。
「みずたたき」とは、「みず(うわばみそう)」という山菜を「たたいた」料理。葉を取って熱湯に通した「みず」をビニール袋に入れ、すりこぎでたたいてつぶしから、まな板の上で粘りが出るまで包丁でたたき、味噌を入れて混ぜながらさらに軽くたたいて、最後に山椒の葉などの薬味を細かく刻んで入れと完成という。緑色のどろっとしたビジュアルだが、ご飯のおかず、酒のつまみに合うという。
「みずたたき」が食べられる店を探したが見つからず、食材としての「みず」も収穫期が6~7月ということで入手困難。そこで、都内にある秋田県のアンテナショップで「みずの実」のパック入り商品を代用品的に購入した。こちらは壇蜜の地元めし「みずたたき」とは別物であるが、せめて「みず」つながりで少しでも近づけたらという思いで食べた。見た目は、池の中に漂う水草のようで、茎に実が数珠つなぎのように連なっている。オタマジャクシのようにも見える。泥色の実をかみしめると、山菜の苦みをかすかに感じる。みそ、にんにくなどインパクトのある薬味と混ぜた「みずたたき」の方が初心者には食べやすいかなと思いつつ、途中で箸を置いた。
壇蜜が残した“地元めし哲学”を思い出した。「人間として地のものをいただくというのは大事なことだと思います。これも出会いですからね」。苦い出会いも大事なのだ。
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(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)