18歳成人は注意を!大人になったら「取消権」失い後戻りできません 専門家が注意呼びかける

 4月1日から、成人年齢が18歳に引き下げられました。今回は4月から新成人となった18歳、19歳の方、及び該当年齢のお子さん、お孫さんを持つ方へ向けて知っておいてほしいことをまとめます

 民法は、未成年者は原則として法定代理人の同意がなければ法律行為を行うことができず、仮に同意を得ずにした行為は取り消すことができると定めています(民法5条)。これは言わずもがな、まだまだ未熟な未成年者を保護するための規定です。親の同意はいわば防波堤、未成年取消権はいわば後戻りの橋というわけです。

 しかしながら今回の法改正で、18歳、19歳でも、法定代理人の同意なくさまざまな法律行為ができるようになりました。例えばクレジットカードを作って高級ブランドの商品を買うことも、カーローンを組んで車を買うことも、モデルやタレント契約も、自分自身の判断でできるようになります。

 なんとも夢が広がる話ですが、重要なのは、成人である以上もはや取消権は行使できないということです。後になって「やっぱりやめたい」「ローン返済がこんなにきついと思わなかった」等は通用しないので、慎重な意思決定が求められます。

 次に、一部で勘違いされていますが、成人年齢が引き下げられたからと言って、お酒やたばこに関する年齢制限は変更されていません。また競馬やオートレースといった公営競技も20歳からですので間違えないようにしてください。

 最後に、養育費の支払いについてです。子の養育費について、かつて「子が『成年』に達するまで養育費を支払う」との取り決めがされていた場合、今回の法改正によって「18歳まで」に変更になるかについては明確な定めはありません。しかしながらその取り決めをした当時、父親と母親が20歳を想定して計画を立てたのでしょうから、成人年齢が引き下げられたとしても従前どおり20歳まで養育費の支払義務を負うことになると考えられています。

 養育費の件はあちらこちらで小さな紛争が起きていそうです。お困りの際はお近くの弁護士にご相談ください。

◆平松まゆき 弁護士。大分県別府市出身。12歳のころ「東ハトオールレーズンプリンセスコンテスト」でグランプリを獲得し芸能界入り。17歳の時に「たかが恋よされど恋ね」で歌手デビュー。「世界ふしぎ発見!」のエンディング曲に。20歳で立教大学に入学。芸能活動をやめる。卒業後は一般企業に就職。名古屋大学法科大学院入学。15年司法試験合格。17年大分市で平松法律事務所開設。ハンセン病元患者家族国家賠償訴訟の原告弁護団の1人。

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