唐揚げ専門店1年で1256店増加 コロナ禍が追い風に 協会「まだまだ増えます」
日本一の唐揚げ屋さんを投票で決める「第13回からあげグランプリ」の授賞式が13日、都内で行われ、32万7802票の投票から選ばれた「しょうゆダレ」「塩ダレ」など唐揚げ店舗11部門、スーパー総菜部門の各部門別に最高金賞、金賞が発表された。
日本唐揚協会が主催。エントリー1023店舗の中から、208店舗がノミネートされた。最高金賞を受賞し、声を詰まらせる店主も。チキン南蛮部門で最高金賞に輝いた宮崎県日向市「グラバー亭」の永田守厚さん(69)は「43年間、家内と2人でやってきた。元気な間は、おいしいチキン南蛮をつくってお客さんに喜んでもらいたい」と、壇上で賞状を広げた。
過去4度、金賞を受賞しながらも、どうしても最高金賞だけは獲れなかっただけに、喜びもひとしお。妻の弘子さん(70)は「涙がこぼれた。コツコツと誠実にやってきただけに、最高金賞は重みがある。20人も入れば満員になる店だが、大きな店も小さな店も関係なく評価してもらえた」と、からあげグランプリにかける思いを語った。
日本唐揚協会の八木宏一郎専務理事(47)によると、2022年4月時点の唐揚げ専門店は同協会の推定で4379店。1年で1256店増えたという。2012年は450店で、10年で約10倍になった。2019年10月に消費税の軽減税率制度が導入され、8%の軽減税率が適用されるテイクアウト店やデリバリー店が増加。コロナ禍での巣ごもり需要が追い風になっているという。
タピオカ店からの業態変更も盛んで、八木氏は「まだまだ増えます。東京都では人口10万人あたりの唐揚げ店は2店舗ほど。5店舗くらいまで成長の余地があると見ています。おいしい店が残ればいいと思っている」と解説し、店舗数増加による味や質のレベルアップに期待する。
同協会のやすひさてっぺい会長(47)は、通常の飲食店に比べ初期費用がかからない唐揚げ店の特長を指摘。「唐揚げブームと言われながらブームを感じられていなかったが、やっと気づかれた。裾野が広がれば全体が上がる。唐揚げは日本だけのもの。スイスで唐揚げをプレゼンしたら、ワインに合うという声もあった。世界に広めていきたい」と、すしや天ぷらに続く唐揚げの世界進出を目指すとした。
(よろず~ニュース・杉田 康人)