コシノヒロコ氏が明かす 開いたら戻せない!? 複雑に折られた招待状がパリコレ時代、評判になった
米Apple社Macのパッケージなどさまざまなアートディレクションを手がけたグラフィックデザイナーの松井桂三氏(75)の個展「松井桂三展 化学反応実験」が兵庫県・宝塚市立文化芸術センターで開催されている(5月14日まで)。このほど、松井氏が内覧会に出席し、ゲストで旧知の仲のファッションデザイナー・コシノヒロコ氏(85)とパリコレ時代の思い出話に花を咲かせた。
松井氏はコシノ氏がパリコレに出展していた1980年代を中心に約30年間、コシノ氏のブランドの招待状やカタログ制作に携わった。コシノ氏が折り紙をテーマにした服を作っていたこともあり、1枚の紙を複雑に折る招待状を生み出した。会場には、細長い長方形の紙を約1/3の大きさに小さく折りたたんだ案内状や、コートを着たモデルの写真を開くと服の内側が見える仕掛けがなされた冊子などが展示された。
展示品を見た松井氏は「開いたら、普通の人は戻せないですよね」と苦笑い。「パリコレの案内状は不思議なものばかり作っていたのでパリでコレクターが出たんです」と懐かしんだ。コシノ氏は「送られてきた時は平面だけど、見る時はどんどん立体になる。どうやって畳めばいいか分からない案内状が多かったんですけど、何年も捨てないでいる方が多かった」とユニークなデザインを称賛した。
コシノ氏は「あの頃、パリコレは本当に大変な思いでやっていましたけど、その後、あちこち旅行したのが楽しくて」と、松井氏とヨーロッパを回った思い出も語った。「とにかく、奇想天外なアイディアをお出しになる。私もどちらかというと変な服を作るのが好きで馬が合うんです」と、”あうんの呼吸”の秘訣を明かしていた。
会場には松井氏が手がけた、国内外の企業やイベントのポスター、パッケージ、ロゴマークなどの作品200点以上が並ぶ。1970年代の「オロナミンC」やフォント開発大手「モリサワ」のポスターなども展示されている。
(よろず~ニュース・今井 佳奈)