横浜銀蠅・翔が役者の落語会「ごらく亭」で念願の高座デビュー!落語エッセー執筆から小宮孝泰がオファー
お笑いトリオ「コント赤信号」の小宮孝泰が主宰する役者の落語会「ごらく亭」の第13回(8月13日、東京・新宿の角筈区民ホール)に、横浜銀蝿・翔が初出演することが25日、分かった。小宮は、よろず~ニュースの取材に対し「某大物ミュージシャンが出演予定」と告知していた。1980年代初頭、「ツッパリHigh School Rock'n Roll」などの大ヒットと生き様を体現したファッションで社会現象になったロックバンド「横浜銀蠅」のメンバーが高座デビューするというサプライズが今夏、実現する。
「ごらく亭」は2011年以来、毎年夏に開催(17年のみ2回)。ミュージシャンの出演は15年のアルフィー・坂崎幸之助以来となる。横浜銀蠅・翔は、日本で唯一の演芸専門誌「東京かわら版」(2021年3月号)に「落語と私 私と落語」と題した巻頭エッセーを寄稿するほど、落語への思いは熱い。
プロデューサーの小宮は1995年頃、翔の初舞台の音楽劇にコメディリリーフとして参加して出会った。最近になって、上記の「東京かわら版」の記事で、落語への強い憧れがあることを知り、出演をオファー。何を演じるかの詳細は当日までのお楽しみだが、小宮は「都都逸ファンタジーになるかもしれません」と含みを持たせた“なぞかけ”で煙幕を張った。
ちなみに、「都都逸(都々逸、どどいつ)」とは、江戸末期に確立され、基本的に七・七・七・五の音数律によって三味線と共に歌われる俗曲。寄席で落語家が披露することもあるが、翔の場合、そこからどのような出し物に“進化”していくかが注目される。ミュージシャンとして「音楽」に寄せた芸となる可能性も考えられる。
その音楽でいえば、かつて、小宮にもラッパーの「M.C.コミヤ」という顔があった。
91年7月にシングル「遣唐使です~ちょっと目立たない~」、同曲を含むミニアルバム「プリーズ・コミヤ・ドント・ハーテム」をリリース。プロデュースは神奈川県立小田原高校時代に落語研究会を創部した仲間で、70年代後半から活動するバンド「ヒカシュー」の三田超人が担当。さらに、同校の同級生であるヒカシューの巻上公一もゲスト参加し、音楽マニアにも注目された。
同アルバムでは、ハマーの代表曲「U can't touch this」のフレーズに、意味ではなく、音(語呂)を合わせた日本語タイトル「ケンタイキ」と「遣唐使です」が対になっており、「ヒア・カムズ・ザ・コミヤ」や「M.C.ハマー讃歌」といった曲も含め、いずれもリリック(歌詞)のたたみかけるパワーを感じさせ、音作りも凝っている。小宮は当時を振り返った。
「M.C.コミヤは正直言うと、僕が望んだわけじゃなくて、(米国のラッパー)M.C.ハマーという人に似ているということから、高校の同級生だった巻上君や三田君につながるプロデューサーを通して(パロディーの)企画としてやらないかという話になった。『やるなら真剣にやろう。踊りも覚えて、歌詞もお任せしないで僕も考える。多少なりとも自分の運命を変えるかもしれない』。そう思って、アルバムを出す時はスタッフと真剣に話し合った。そのおかげで、他のことは知らなくても、M.C.コミヤで僕を知っているという人もいましたから。結構、一生懸命作ったから、ラップとしても完成度が高いと評価も高くて、今でも聴こうとしている人がいるみたいですよ」
今年1月公開の主演映画「桃源郷的娘」の舞台あいさつで、小宮は「(M.C.コミヤを)時々やってと言われるが、全然できない」と語り、ネットニュースにもなった。M.C.コミヤ時代は35歳。今春、66歳になった小宮は「年を取ると、昔できたことができなくなります」と実感を込めたが、55歳から始めた「ごらく亭」での落語は加齢と共に表現方法にも味が出て来る。
「音楽好きな俳優さんもいるし、スポーツが好きな俳優さんもいる。僕の場合は落語が好き。表現の仕方が違うだけでつながっている。好きなことだと自分でも飽きないし、夜寝る間を惜しんででもできる。落語に関するエッセーもいろんなところで書いています」(小宮)
そして、「落語好きなミュージシャン」が翔だった。この夏、落語を愛するロックンローラーとの「競演」によって、小宮をはじめ、「ごらく亭」という場に新たな化学反応が起こるかもしれない。
(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)