今も語り継がれる伝説のテレビドラマ「３年Ｂ組 金八先生」第２シリーズ（ＴＢＳ系、１９８０年１０月-８１年３月放送）で、不良少年「加藤優」を演じた直江喜一と同級生「迫田八重子」役の川上麻衣子が、５０代のロックミュージシャンたちとコラボしたトーク＆ライブイベント「腐ったミカンの方程式 ～４１年目の解答～」が６月に都内で開催された。

　企画したミュージシャンは、ソウル・フラワー・ユニオンの奥野真哉、ザ・コレクターズの古市コータロー、怒髪天の坂詰克彦、フラワーカンパニーズのグレートマエカワと鈴木圭介、真心ブラザーズのＹＯ-ＫＩＮＧの６人。多感な少年期にドラマと接したリアルタイム世代だ。今年３月の予定がコロナ禍で延期され、６月２１日に新代田のライブハウス「ＦＥＶＥＲ」で開催。チケットは即完売で、超満員の会場には熱気が充満。ドラムセットの背後には優と八重子の大きなモノクロ写真が掲げられた。

　第１部では「金八トーク」に花が咲いた。

　主役の坂本金八（武田鉄矢）以外の「好きな先生」について、川上は「収録に向かう同じ電車内で台本を読む姿を遠目に見ていた」という当時２３歳の名取裕子が演じた美術教師の田沢悦子、直江は「７歳くらいしか年が違わない兄貴分」として数学教師・乾友彦役の森田順平を挙げた。ミュージシャンからは早崎文司さん演じる教頭の野村孝一郎、吉行和子がふんした家庭科教師・池内友子の名も挙がった。

　「思い出のシーン」では、「卒業式前の暴力」の主役となった優を熱演した直江が「順撮りして、精根尽き果てた最後の方は芝居してないので、いい顔していた」。また、転校時に教室で沖田浩之さん演じる松浦悟に足を引っかけられてケンカになる場面を「リハで思い切りやって本番はへろへろ。優は１発なのに、悟に２発殴られた」と回顧した。

　悟が不登校になり、金八と八重子が自宅まで呼びに行くシーンも。川上は「鼻にかかった声で、当時、みんなにマネされました。優は男子に人気で、悟は女子に人気があったから、とにかく悟のファンに嫌われた。あのシーンと幼なじみという設定もあって、街を歩いていると石を投げられました。女子学生の集団を見かけると、隠れていました」と告白した。

　直江は「さっぱりしたらダメということで『髪の毛を切るな』と言われ、半年間、理髪店に行けなかった」という裏話も。視聴率について、直江は「常に２５％はキープし、中盤以降は３０％以上あった。武田さんは『３３％ということは、国民の３人に１人が見てるんだぞ！』と言っていました」と振り返り、川上は「１０代の視聴率に限っては９０％くらいあったのでは」と指摘した。

　同窓生の交流は今も続く。直江は「（２０１１年の）『ファイナル』が同窓会になって、グループＬＩＮＥを作っています。（椎野一役の）ひかる一平はＬＩＮＥやらないから、メールで（赤上近子役の）つかさ経由で回したり」と説明すると、中学時代に伊藤つかさのファンクラブに入っていたというＹＯ-ＫＩＮＧは天を仰いだ。

　第２部のライブでは直江が作詞作曲した「前だけを見て歩く男でありたい」に続き、放送室シーンの長ゼリフを再現。さらに、８１年のデビューシングル「悲しきティーン・エイジャー」のＢ面に収録された隠れた名曲「けんか帰り」を４１年の封印を解いてライブで初披露した。

　セーラー服姿で登場した川上は８２年のデビュー曲「白夜の世代」や、ＹＯ-ＫＩＮＧとのデュエットで伊藤のヒット曲「少女人形」、第１シリーズに出演した三原じゅん子の「セクシー・ナイト」をソロで熱唱。川上は「三原さんと昔はよく飲みに行ってました。議員さんになる前、武田鉄矢さん主演の舞台で、私は奥さん役で、三原さんは政治家になる役だったのですが、その時に既に演説の訓練は相当されていました。もしかしたら、それがきっかけになったのかも」と明かした。

　直江は沖田さんのヒット曲「Ｅ気持」を鈴木と歌い、劇中で加藤と松浦が立てこもりの末に逮捕され、護送車で運ばれるシーンなどでフルコーラス流れた中島みゆきの「世情」を歌い上げた。金八仮装の鈴木が２人に感謝状を贈り、「人として」を合唱して大団円となった。

　放送終了の８１年３月当時、１８歳の直江は５９歳に、１５歳だった川上は５６歳になった。芸能活動は活発だ。

　直江は「出演映画では『おいしい給食　卒業』が上映中で、７月２４日から『ビーバップのおっさん』が順次公開予定。１１月２７日には『直江喜一とオレンジブレーカーズ』というバンドのライブを銀座でやります」と告知。会社員としては来年１月で定年を迎えるが、勤務は継続するという。

　川上は「豪華な方々と一緒にステージに立ち、とても興奮しました！歳をとるのも悪くないなと思う時間でした」と夢の一夜が刺激になった。７月１５日スタートのテレビ東京系ドラマ「警視庁強行犯係　樋口顕　Ｓｅａｓｏｎ２」で主演する内藤剛志の妻役で出演。くしくも「金八先生」と同じ「金曜夜８時」の枠だ。これも何かの縁かもしれない。

（デイリースポーツ/よろず～ニュース・北村 泰介）