広井王子氏手がける少女歌劇団が目指す“吉本の宝塚”「サクラ大戦」の歌劇団とは「全く別」
演出家・広井王子氏(68)が総合演出を務める、吉本興業の劇団「少女歌劇団ミモザーヌ」が23日、東京・太田区民プラザ大ホールで夏講演「Traveling Summer」を開催した。昼公演終了後、広井氏はよろず~ニュースの取材に応じ、同歌劇団の未来像、自身が原作・総合プロデューサーを務め、「華撃団(歌劇団)」の活躍を描いたゲーム「サクラ大戦」との関連について答えた。
「ホっとしました」。廣井氏は開口一番、安堵(あんど)の表情を見せた。公演前日、のどの調子が悪いメンバーがいたため、構成を変えるかどうかギリギリまで悩んでいたという。「昨日の夜は眠れなかったです」と振り返るほど不安だったが、この日の朝までにメンバーは回復。予定通り公演は行われ、テーマ「世界の旅」の通り、スペイン、フランス、中国など世界各地の衣装に身を包んだメンバーたちがアンコール曲を含む全24曲を堂々と披露した。「みんな元気に、楽しそうにやっているのがいいですよね。やらされてる感がなかった」と満足そうな笑みを浮かべた。
19年に1期生が誕生した「ミモザーヌ」のメンバーは、11歳から19歳までで構成され、20歳になると卒団する。今年3月の沖縄合宿から4期生が参加し、現在休団中のメンバーも含めると26人が在籍している。
コロナ禍が直撃し、20年12月の初公演は配信になった。自宅でのレッスン、お披露目の延期続きなど思うように活動できない日々が続き、決して順風満帆とはいえなかった。広井氏は「ここ2年間は“試作品”で、ここからスタート。これから本格的にレビューショーっていうのを作りたい。そのために育ててきて、やっと芯ができてきた」と自信を見せる。長いスパンで同歌劇団の飛躍を願い、100期以上続く宝塚歌劇団のように、伝統ある“吉本の宝塚”になってほしいとうなずいた。「宝塚歌劇団と比べる場合、ウチはまだ100年時間がある。何十年後には違うものになっているかもしれない。それを僕はたぶん見届けられないけど、次の人にバトンタッチして吉本の宝物、財産になってほしい」と目を輝かせた。
広井氏はアドベンチャーゲーム「サクラ大戦」シリーズを手がけたことでも有名。1996年に発売されたシリーズ第1作の「サクラ大戦」では、帝都・東京の平和を守るために結成された秘密組織「帝国華撃団」が、平時は大帝国劇場のスタァとして舞台に立つ「歌劇団」、有事には霊力を武器にして戦う「華撃団」として活躍する物語が描かれた。同じ歌劇団として「ミモザーヌ」に逆輸入した点はないようで、「全然サクラとは違う歌劇団ができあがります。全く別です」と笑顔で明かした。
「サクラ大戦」が舞台化された一方で、広井氏はレヴューへの思いが捨てきれなかった。「ゲーム会社だと支えきれないというか、難しい部分もあった。ゲームを売るためのものだから」と理解を示しつつ、「吉本は昔からずっとレヴューもやっていたというのもあって、このコンテンツを持ってきた。ザ・芸能界ですし、すごくやりやすいです」と語った。
10月からは、月に1度のライブ定期公演を行うことが決定している。広井氏によると、1公演で3~4程の新曲を披露する予定だという。「まだまだ書きたい詩がいっぱいある。がんばります!」と言葉に力を込めた。
(よろず~ニュース・松田 和城)