作者の“奇跡体験”がヒントに ライトノベル「マッチングアプリで元恋人と再会した」
ライトノベル「マッチングアプリで元恋人と再会した」(KADOKAWA)は、近年、利用者が増えているマッチングアプリを題材とした大学生ラブコメディー。作品誕生の背景には、原作者・ナナシまる氏がアプリで元恋人とマッチした“奇跡体験”があった。
大学2年の藤ヶ谷翔が、約3年と3カ月にわたり付き合っていた彼女の未練を断ち切るため、友達のすすめでマッチングアプリを始める。性格診断の結果をもとに示された「相性98%」の相手”アカリ”さんとマッチング後、メッセージでの会話も弾み、向かえた初デート。待ち合わせ場所にいたのは、疎遠になっていた元カノ・高宮光だった、というあらすじ。翔と同じ大学に通うぼっち美少女・初音心ともマッチし、「未練」か「新しい恋」かの葛藤が描かれる。
普段ライトノベルを読まない層の関心をひけるよう、利用者が急増しているマッチングアプリに目をつけた。ナナシまる氏は、実際に入会すると、緊急事態宣言の初発令とデビュー作の執筆時期が重なった関係で3カ月ほどで別れていた元恋人を発見した。軽いノリで「いいね」を送ると相手も反応し、互いの恋愛、仕事関係などの近況報告をしたという。実際に会うことはせず、「そもそも恋愛感情がお互いにない状態で、友人として仲良く、ということもなかったです。特に会いたいとも思わなかったので、自著で再会した2人と比べて、私は結構薄情なのかもしれません」と苦笑した。この偶然の実話から今作のアイデアが生まれた。
作中では、翔の友人・縁司が翔に「1通目のメッセージの送り方のコツ」「プロフィール作成で最も重要なのは写真」などと具体的にアドバイスする場面が描かれている。ナナシまる氏は「インターネットやユーチューブでそのノウハウを学びながら、私自身が実際に使ってみてのアドバイスです」と説明。1カ月で5人程と出会い、交際まで至ったという。「なにより今までなかった価値観を持つ相手と出会える楽しさもあり、知見が広がったと感じています」と振り返った。
今作では、読者がヒロインに本気で恋をするような“恋愛シミュレーションライトノベル”を目指したという。ナナシまる氏は、「キャラクターを愛してもらえれば、自然と作品自体にも好感を抱くと思いました」。第2巻以降、新たなヒロイン候補が登場予定だと明かした。「書いている途中で書きたいものが増えたり、脱線したりすることがよくあるのですが、それでも話の向かう先は決まっているので、読者の皆さまには、完結まで見守ってくださると幸いです」と呼びかけた。
(よろず~ニュース・松田 和城)