参入相次ぎ「月見戦争」加熱 月見バーガーの売りと意気込み 各チェーンに聞いてみた

 大手ハンバーガーチェーン、マクドナルドの秋の期間限定商品「月見バーガー」は近年、各社のフォロワーを増やし、今秋はさらなる参入が続いたことから、SNSでは「月見戦争」のワードが注目を集めている。各チェーン店の「月見バーガー」を紹介するとともに、各社広報担当に意気込みを聞いた。

 マクドナルドは1991年秋から月見バーガーを販売。冬のグラコロ(開始は1993年)、春のてりたま(同1996年)、夏のロコモコ(同2017年)へと続く、季節限定バーガーのさきがけとなった。今秋は7日から「月見バーガー」「チーズ月見」「月見パイ」「月見マフィン」の定番に加えて、「こく旨 すき焼き月見」「栗のモンブランの月見 マックフルーリー」などの新商品が登場。バーガー・マフィン4種、スイーツ3種、サイドメニュー1種の全8種を展開する。

 担当者は今秋における「月見戦争」の盛り上がりを「現在では各季節の風物詩としてマクドナルドのバーガーをお楽しみいただいておりますが、特に月見は日本の風習であるお月見に合わせて、毎年心待ちにしていただいているお客様が多くいらっしゃいます。そのような中で、お月見をテーマに様々な商品が登場することは、お月見が一つのイベントとして盛り上がりますので、大変素晴らしいことですし、ぜひ今後も日本ならではの秋の風物詩として楽しんでいただきたいと思っています」と歓迎した。「月見バーガーは長年ご愛顧いただいており、今年で31年目を迎えました。長きにわたりお客様に愛され続けていることに大変うれしく思います」とした上で「月見ファミリーならではの豊富なバリエーションを様々なシーンでお楽しみください」と呼び掛けた。

 ケンタッキーは2016年から、ジューシーに仕上げた国内産チキンと、“とろ~り”とした目玉焼き風オムレツをサンドする月見バーガーを展開。今年は8月31日に「とろ~り月見フィレサンド」、「とろ~り月見和風カツサンド」「とろ~りチーズ月見フィレサンド」、「とろ~りチーズ月見和風カツサンド」を発売した。

 担当者はこの盛り上がりに関して「秋の季節感を表す一つになってきたように感じます。各社が月見バーガーに参入し、弊社としてもその魅力をさらに高めていきたい」と言及。自社の月見バーガーを「“とろ~り”に力を入れてます。冷めた状態でも“とろ~り”が失われないように、目玉焼き風オムレツに尽力しました。“とろ~り”をお楽しみください」とアピールした。

 2016年に参入したロッテリアは、「半熟月見絶品チーズバーガー」「半熟月見エビバーガー」「半熟タマてりバーガー」「半熟タマてりチキンバーガー」に加えて、国産こしひかり100パーセントのライスバンズを使用した「半熟タマてりごはんバーガー」「半熟タマてりチキンごはんバーガー」の6品を8日に発売。こだわりの半熟タマゴが軸を担う。

 担当者は「世界的にも注目されている『日本の四季』。とくに秋は、食欲の秋、グルメの秋、スイーツの秋など新生活の節目としても活発な時期で、それと並び一つの風物詩である『月見の秋』は、秋の訪れを感じさせるとともに、日本人の購買理由に挙げられる“季節感を感じたとき”にもマッチしています」と月見バーガーの存在感を説明。その上で「弊社を含む各社、各業態がそれぞれに工夫を凝らしてお客様ニ-ズにお応えする『月見の秋』は、『戦争』という強いワードではなく、皆さんが待ちに待った『シーズン到来』といったワードが適しているかもしれません」と続けた。自社製品については「コンセプトは、秋の『とろ~り半熟タマゴの和風月見バーガー』。日本人が大好きで外国の方からは珍しい『半熟タマゴ』と三温糖、たまり醬油、オイスターソースが隠し味の和製バーガー『てりやき』の相性が絶妙で、ごはんバーガーも楽しめる、日本の秋にぴったりな月見バーガーです」と述べ、手応えを漂わせた。

 モスバーガーは今秋から参入。14日に「月見フォカッチャ」を発売した。秋季限定で復活販売される「バーベキューフォカッチャ」に、同チェーンオリジナルの半熟風たまごをトッピング。馬蹄型ソーセージを8パーセント増量し、ピッツァの原形ともされるフォカッチャ(パン)に、タマゴの魅力を加えた。人気アニメ「セーラームーン」を登場させた広告ビジュアルでも注目を集めた。

 担当者は「昨年秋に販売したバーベキューフォカッチャが好評をいただいたことと、満足のいく半熟風のたまごが開発できたことで、合わせたところ大変相性が良かったので、秋を感じられる月見商品として発売することにしました」と経緯を説明。月見バーガーの注目度を「月見戦争、月見商戦と競い合うのではなく、季節の風物詩としてそれぞれのお店の商品が話題となり、月見商品が秋の定番となればうれしいです」と冷静に見据えた。その上で「構想2年、開発に1年かけた自慢の半熟風のたまごをのせた月見フォカッチャです。ボリュームアップした三日月形のパリっとした歯ごたえのソーセージと、満月形のとろっとしたたまごのハーモニーをお楽しみください」と、新商品への自信を口にした。

 喫茶店チェーンのコメダは今秋から参入。7日に「フルムーンバーガー」を期間限定発売した。コメダ珈琲店自慢の大きなバンズ(パン)にレタス、チーズをのせたハンバーグ、丸いエッグオムレツをサンド。チーズとハンバーグに黄身の甘みとコクが加わった濃厚な味わいが、満月のような見た目のフルムーンバーガーに結実した。

 担当者は「新参ではございますが、コメダ珈琲店でも季節を感じていただきたく開発いたしました。コーヒーのお供、軽食のひとつとしてお楽しみいただければ幸いです」とあいさつ。「満月、満腹、大満足!のうたい文句に偽りなし。おなかも心も満たされるバーガーができあがりました。サウザンソースのまろやかな酸味と、チーズのコク、ハンバーグにとろりとかかるエッグオムレツの黄身の甘みが相性抜群です。ぜひ口いっぱいにほおばってお召し上がりください」と呼び掛けた。

 母体企業が共通のファーストキッチンとウェンディーズ・ファーストキッチンはともに今秋から参入し、8日にそれぞれ“月見バーガー”を発売した。

 ウェンディーズ・ファーストキッチンは「月見B.B.P.バーガー(BBQベーコンポテト)」「月見B.B.P.チキンバーガー(BBQベーコンポテト)」を展開。お月様に見立てた丸いたまご焼きと円形のハッシュポテトが特徴的なボリューム満点バーガー。担当者は「日本独自のお月見文化と、アメリカナイズされたものを融合することで、他社との差別化を図りました」と説明した。

 ファーストキッチンの「べーコンもっちバーガー」「旨味タルタルベーコンエッグバーガー」は商品名に「月見」の文字はない。「弊社では創業からたまごを使用した『ベーコンエッグバーガー』を販売しております。そのため、年中月見バーガーをご提供しており、たまごを使ったバーガーはどこにも負けないぞ、という意気込みです」とした上で「月見にかけてハンバーガーに丸もちをはさみ、他社にはない新たな月見バーガーに挑戦します」と語った。お月様に見立てた丸もちを、初めて使用した。

 ファーストキッチン社は今年で創業45周年を迎え、節目を飾るべく「風物詩となっている月見バーガーへの参入を今春から準備してきました」と商品化を進めてきたという。

 SNSで話題の「月見戦争」。「戦争」の言葉の是非はともかく、各社が工夫を重ね差別化を図ることは、消費者にとっては歓迎されることだろう。

(よろず~ニュース編集部)

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