教師が「このクラスにはLGBTQいないと思いますけど(笑)」 思わず「いますよ」と返した当事者の生徒の話
LGBTQ当事者の高校生のエピソードがSNS上で大きな注目を集めている。
「政治経済の授業でLGBTQの話題になって、
先生に『まあこのクラスにはいないと思いますけど笑』って言われた。
だから反射的に『いますよ』って返しちゃって、おれがそうだって多分クラス全員にバレた笑
明日からどう接されるのか不安だけど、いますって言ったことに後悔はしてない。」
と件のエピソードを紹介したのは柊さん(@17shu_10)。
近年、教育の現場でもようやくLGBTQへの理解を重視しはじめたと言われているが、実際にはこのようなことが全国の学校で起こっているのだろう。教師の発言にあえてカミングアウトまでし異をとなえた柊さんの勇気ある行動に対し、SNSユーザー達からは
「反射的だとはいえ、言える勇気、言ったことに関して後悔してないと言える勇気が高校まで隠し通した私からしてみたら、在り来りな言葉ですがカッコイイな…、素敵や…と思いました。
なんと言われようとも、主さまのような人に尊敬する人も居ることを知っていただけると幸いです」
「『もしも世界が100人の村だったら』という本で10人に1人はLGBTQという統計がありました
30人のクラスだったら3人はいることになる
あまりに配慮のない言葉ですよね
もし誰かに何か言われてカミングアウトするのが嫌だったら本で読んだから、というのも手です」
など数々の称賛と共感の声が寄せられている。
柊さんにお話を聞いた。
中将タカノリ(以下「中将」):ご自身の性意識に気付かれた時期、きっかけをお聞かせください。
柊:自分は今17歳ですが、ものごころついた時から自身のことを男性だと思っていました。自分がトランスジェンダーだと気づいたのは中学2年生のときです。保健体育の授業でLGBTについて勉強して、自分はこれなのではないかと感じたのを覚えています。
中将:これまで学校などで性意識に起因する不都合や違和感、ストレスを感じることは多かったのでしょうか?
柊:自分の通う学校はLGBTQの講義などを行い、理解がある高校だと言われています。
ですが、ジェンダーレス制服を許可していなかったり、教師が「女子だから~」または「男子だから~」と言うようなことも度々あります。LGBTQに配慮しているという口だけの大人が多いことには違和感を感じています。
中将:今回、教師の発言を受けたご感想、反射的に反応してしまったしてしまったことへのご感想をお聞かせください。
柊:初めての経験ではなかったので、「またか…」という半ば諦めの感情でしたが、存在を否定されることには「それは違う」とも感じました。
個人的には有り得ない発言ではなく、誰もが発したことのあるかもしれない悪意のない偏見ある発言…差別的発言だと思っています。今まで黙ってやり過ごしていたので、咄嗟に出た言葉に自分自身も困惑していました。「やってしまった!」となりましたが、すぐに開き直って堂々としていました(笑)。
中将:教師の方、同級生はその後どんな反応をしましたか?
柊:友達の中には「どう接したらいい?嫌なことあったら言って!」と言ってくれた人もいました。なので、改めて自分の性自認についての説明と「一緒にトイレ行こ!」と女子トイレに誘うこと以外は普段通りに接してほしいことを伝えました。「おっけ!了解!」「なんとなくわかってたよ」「私ら力になるから!」と温かい言葉をかけてくれ、普段と変わらずに接してくれています。一方で気まずそうに目を逸らす人、「ごめん、うちは今まで通りは無理だ。避けちゃうかも。」と伝えてくれた人もいました。
先生には「配慮のない発言だった。本当に申し訳ない」との謝罪を受けました。また、LGBTQについて理解を深めると約束していただけました。
中将:これまでの反響やコメントについてご感想をお聞かせください。
柊:正直こんなにも反響を頂けるとは思っていなかったので、本当に驚いています。温かいコメントやわざわざメッセージを送ってくださる方がいて、有難いなと感謝の気持ちで一杯です。LGBTQについて理解のある方も沢山いるということを知ることができてよかったなと思っています。
◇ ◇
明るく取材に対応してくれた柊さんだが、LGBTQと知り拒絶された友人もいたということ。けっして心に傷がなかったわけではないだろう。
この社会でLGBTQへの理解が、そしてその根本となる人間が生まれついて持った権利や自由への理解が早急に進むことを願いたい。
(よろず~ニュース特約・中将タカノリ)