「児童相談所で暮らした日々は誇り」双子タレントの広海・深海が実業家、スタイリストに転身 赤裸々に語る
2000年代後半に「笑っていいとも!」がきっかけでスカウトされ、おすぎとピーコ以来の双子タレントとして活躍していた広海・深海。二人は現在、それぞれデジタルマーケティング会社社長、スタイリストとして活躍している。
そんな二人が自分のバックボーンを赤裸々に語った本「むすんでひらいて」(ワニブックス)を上梓した。新たなフィールドで実力を発揮する二人に話を聞いた。
--出版の経緯は?
深海:コロナ禍で二人でインスタライブをやってたんですね。その中で自分たちことをいろいろ話していると出版会社の方から「本にしてみませんか?」と言われてね。
広海:文章書けないのでインタビュー形式ならってことで、編集者とライターさんから10回くらいお話を聞かれて、それをまとめてくださったんです。
--出来上がった本を読んでいかがでした?
中身については本当ならセンセーショナルなネタをぶっこんでみるとかがいいんでしょうけど、基本、私たちは人が傷つくようなことは書かないって決めていたので、そこは気をつけました。
深海:蓋をしたかった出来事もあるし、忘れていたかったこともあったんですけど、そこは自分たちも向き合わなきゃいけないって決めていたので、包み隠さずに話しました。そこから編集やライターの方は大変だったと思います。
--反響はいかがですか?
深海:身近な人が読んでくれて、私たちを改めて認識したって言ってくださった声が多かったですね。
広海:印税を全部、僕らが入所していた児童相談所に寄付したところ、とても喜んでくださいました。その経緯があって、9月に私たちの故郷である三重県から感謝状を贈りたいということで知事から表彰していただきました。
深海:そのことがきっかけで、相談所で私たちを担当してくださってた職員さんが来てくださってね。感激して泣いちゃいました。
広海:プライバシーのこともあるので、入所していた子どもと職員さんて、そこを出たらなかなか会うことはないんだそうで。
深海:児童相談所にいた子どもたちは、大人になるとそこにいたことを隠すことが多いんです。私たちは隠さずに言うので「児童相談所が注目されるようにしてくれた。働いていた者が救われます」って言ってくださって、それは嬉しかったです。
子どもにしろ、職員さんにしろ、陽の当たりにくい所だからこそ、それについてしっかり書かせていただけたのは良かったなと思います。書いて終わりじゃなくてこれからも発信はしていかなきゃと感じました。
--本の中でお二人がもっとも伝えたかったことは?
広海:本を出してみないかって依頼を受けた時、正直、「本を出してもお金にならないしなぁ」って思たんです。でも「いや、ちょっと待てよ」と。
私たちは両親にネグレクトされ祖父母に育てられて、生活が貧しくて事情あって児童相談所で過ごしました。そういう環境で紆余曲折を経ながらも、今こうやって何とかなって生きてるってことを、同じような環境にいる人たちや、そういう世界をなにも知らない人たちに対して発信する義務があるんじゃないかと。そういうことを私たちなりに伝えることができたのは良かったなって思います。
--今ネグレストされている環境にいる子どもたちや、そういう環境に育った人たちへの思いは?
広海:貧乏だった時と今とどっちが幸せかっていうと、気持ち的にはどっちも幸せなんですね。みんなそれぞれの幸せの度合いの中で生きていると思うんです。上を見ればきりがない。でも、自分の境遇を卑下して卑屈にはならないでほしいです。なんとかなるから信じて生きて欲しい。自身をかわいそうと思って生きないでほしい。
深海:ひとつ言えることは外野の意見は基本、無視。自分がどうしたいかだけを考える方がハッピーじゃないかなって思うんです。
広海:せっかくならチャンスを与えることができたらって。私たちみたいな環境で育った人でももっと勉強したり何かの才能を伸ばしたい人っているじゃないですか、だからそういうチャンスを求めてる人に対してきっかけを作ってあげる事ができたらなって考えてます。
ーー猫もお二人にとって大きな存在のようですね。
深海:猫を育てることが私にとって生きるパワーになってますね。小さい頃は大変で、「お子さんがいるお母さんもこんな感じかな」って思ったり、「私たちを育ててくれた祖父母ってどれだけ大変だったんだろうな」って感じたり。猫は人間を成長させてくれますね。
広海:人間と一緒だよね。おそらく深海ちゃんより猫のことは愛してると思います。だって猫のことが一日中頭の中を占めてることが多いですし、これからふたりで保護猫に関しても発信できたらと思ってますし(笑)。
◇ ◇
双子タレントから、それぞれ個性のある存在として華麗なる転身をした広海・深海さん。今回発売された本で二人のバックボーンを知ることによって、さらに彼らの生き方に興味、共感を持てるはず。
(よろず~ニュース特約・仲谷 暢之)