野末陳平、90歳 YouTubeに参戦 今も健在な毒舌 女子大生とのプレイボーイな日々から健全な隠者生活へ
テレビ黎明期に売れっ子放送作家として活躍後、タレント、作家、国会議員、プロレス団体のコミッショナー、実業家など、数々の業界で横断的に活躍した御年90歳となる野末陳平氏。
15年ほど前からメディアへの出演や取材は特別な理由がない限り控え、自由気ままな生活を送っているという野末氏だが、今年の6月に突如として群雄割拠するYouTubeへの参戦を果たした。そこで今回、齢90でYouTuberとなった真相を確かめるため、野末氏に電話で取材をお願いした。年齢を感じさせない毒舌を振りまきながら、YouTubeをスタートさせた理由をはじめ、2019年に87歳にして出馬を決意した驚きの本音、そして、元祖“プレイボーイ”が辿り着いた現在の生活までを語っていただいた。
盟友の立川談志と共演していた番組『談志・陳平の言いたい放だい』(MXテレビ / 2004年~2008年)が終了後、めっきりメディアへの出演機会を減らしている野末氏。近年、最も話題となったのが、2019年に行われた第25回参議院通常選挙に87歳にして出馬したことだろう。その理由について、驚きの本音を語ってくれた。
「有権者の方には悪いけれど、あれは冗談で出たんで。選挙運動をしないで、票がどれくらいくるだろうっていう実験だね。あの時に作った高齢者の意見を代弁するって政策なんてダメだよ。その世界は過ぎてるわけだから。高齢者を大事にし過ぎて、今の日本があるわけだから。だから大いなる実験だね(笑)」
このような実験に挑戦するということは、今もなお、政治に関心を持っているのかと質問してみると、「興味はない」とキッパリ。「時代は、大変革のときに入っているから政策を作るだけでも難しい。いろんな政党が受けようと思ってなんでもやっているのはわかるけど、どれだけ社会的な意義があるんだろう……」と話し、今は日本の政治よりも、世界政治への関心が高まっているという。
そして、メディアに颯爽と登場し、野坂昭如と共にプレイボーイと称された野末氏は現在、どのような生活を送っているのだろうか。その前に “プレイボーイ”と呼ばれることについて、「ぼくは、プレイボーイというか、女遊びはしてない」と、当時の真相を教えてくれた。
「今みたいに、不倫とか愛人とかはない。ナンパみたいな感じで、1、2回やって終わり。当時はそれで通ったから。酒場とか、そういう知らない子はたまにだね。たいていは知ってる子。女子大生と遊んでた?うん、女子大生がいっぱい自宅に遊びに来てたね。要するに、うちに来れば、飲んだり食ったりは自由で遠慮がいらないから、女の子同士できて……いろんなことして遊んでたね」
また、前述した『談志・陳平の言いたい放だい』にて、談志が発した「ニューハーフの人とも付き合っていた」ことについては、「付き合ってないよ。ただむかしね、何十年も前、ちょっとね……」と、その経緯についても語ってくれた。
「交友というほどでもない。そういう友達はいるよ。ただ、デリケートな方が多いから、やきもちを焼かれたり、いろいろあって……。まぁ、普通の人よりかはあるかな(笑)」
そうした若かりし時代を過ごした野末氏も、今ではすっかり健全な生活に。都内のマンションに一人暮らし。動画配信サービスで海外の映画やドラマを鑑賞。また、不定期で“雑談ランチ”と称し、神田伯山、春風亭一之輔、立川志の輔、立川志らくなどと集まり、ランチを楽しみながら会話をするのが至福の時間だと話す。
現在、野末氏はメディアへの対応について、「たまに出演や取材の依頼は来るけれど、特別な場合をのぞいて、そうしたオファーはお断りだね」と一刀両断。その理由には、メディア全般に対する失望感のような思いがあるという。
「『談志・陳平の言いたい放だい』が終わったときが、75、6歳で、それを機会にスパっとやめたと。理由は、今のテレビはただのいかがわしい見世物。影響力もない。専門外のことでも偉そうにしゃべって、小遣い稼ぎをやったり、地方講演で大金をふんだくったりとか、そういう機能しかない。そんなところに出る気はまったくない。小銭もほしくない。名前も売れたくない。世の中をバカにしちゃいけないよと。じゃあ、なにをするかというと、ひとりで都心の隠者になって世の中の移り変わりをながめる。それを老後の楽しみだというふうに勝手に思い込んで、そういう人生を選んだということだね」
その思いの中で、なぜYouTubeというメディアに飛び込んだのか。最後に、YouTuberとなった経緯について話してくれた。
「90歳になってあんなバカなことするやつはいないよ。面白く観てくれるやつがいればいいけれど、今はまだ数字のことは気にしない。要するに、経費も掛かってないし、何ももらってないし、勝手に内輪でやってるだけだから。炎上しそうな盛り上がる話もたくさんあるけど、一緒にやってる人に迷惑が掛かっちゃいけないし。今はまだ頼まれてやってるんで……まぁ、気まぐれだから、そのうち飽きるかもしれないけどね(笑)」
ノンストップで1時間以上もしゃべり続けてくれた野末氏。その健在ぶりから、YouTubeの世界でも、新たな功績を残してくれることだろう。
(よろず~ニュース特約・橋本未来)