300メートルのダイブ!話題の「バンジーVR」 現役声優がマンツーマンで観光ガイド、シュールな外観に爆笑
大阪市内に立つ高さ日本一の高層ビル「あべのハルカス」の展望台に、絶叫が響く一角がある。VRゴーグルを着け専用の台に横たわった客は、係員の「3、2、1、バンジー!」のかけ声で台ごと真っ逆さまに。「うわあああ」「キャー」と悲鳴を上げる。
地上300メートルの屋上からバンジージャンプする気分を味わうアトラクション。ゴーグルにはハルカス屋上から落下するイメージ映像が流れる。絶景映像にはメタ社の最新VRソフトを使っているが、客が体を預ける台の回転や振動はスタッフが人力で行う非デジタルな面もある。
バンジー台に向かうまでに屋上のレール上を移動する場面は、客が足を乗せた台を揺らしレールのがたつきを演出。スリルをあおる。ジャンプの瞬間は体を乗せたシーソー型の台を回転させ、客を逆さまの体勢にする。送風機で風を降下中の頭部に当て、屋外を飛んでいるような雰囲気をつくる。
台を動かす係は、現役の声優や養成所に通う声優の卵が務める。ジャンプ直前の場面では、地上300メートルからの絶景の中に見える大阪湾や通天閣などを美声で観光案内。客から「やさしめにしてください」と懇願され、「かしこまりました!」と言葉を返すなどオーダーメードの接客をしている。
スタッフの一人で、普段はテレビ番組のナレーションやイベントの司会としても活動する水谷伊吹さんは「どこを盛り上げてどこを抑えるかは(普段の仕事と)通じる部分がある」と話す。声優志望の鷲尾あおいさんは「(客の)人数が多い時に、せりふが同じにならないよう意識している」と、流れ作業にならないようアドリブを交える工夫をするという。
声の仕事以外に舞台にも出演したことがある津谷太斗さんは「(アトラクションが見える位置に)並んでいる方がいるので、舞台と客席という感覚。並んでいる方にも楽しんでいただけるように脚色したりする」と話す。映像を見ている体験者にとっては絶叫モノである一方、周囲の目には屋内で逆さまになって悲鳴をあげるシュールな姿が映り、待機列からは笑いが漏れる。
主催する株式会社ロジリシティの野々村哲弥さんは「みなさん爆笑される。見るとばかばかしいけど、実際にやると迫力があると言われます」と胸を張った。
利用できる条件は7歳以上、体重は100キログラム以下。土日祝日のみの限定開催で、12月11日まで。
(よろず~ニュース・今井 佳奈)