伝説スーツアクター「ウルトラマンレオ」ヌンチャクシーンを回想 撮影秘話明かす
スーツアクターのレジェンドが、特撮作品「ウルトラマンレオ」のヌンチャクシーンを回想した。スタントマン、スーツアクターを経て、アクション監督・殺陣師として北野武監督作品、放送中のドラマ「相棒」などを担当する二家本辰己(69)が19日に都内で開催されたトークイベントに登場。俳優・声優の町田正則(67)とともに秘話を語った。
二家本は「キイハンター」の千葉真一に憧れ山口から上京。1971年ごろに入所したJACでは、3階から飛び降りる稽古を行う前日、両親に手紙を書き残すよう告げられた経験を明かし「テクニックの説明もなく、ただ落ちろ、というだけ。途中で手すりをつかんだ人は壁に激突し、マットから外れた人はケガをした。何を言われてもハイ、とだけ答えて、ケガをしても自分からは言わないような時代でした」と振り返った。スポーツ、格闘技の経験は一切なかったが、JACでバク転等の技術を身につけたという。
1974年からTBS系で全51話が放送された「ウルトラマンレオ」では、スーツアクターとしてレオを担当。ウルトラマンの子どもショーに参加していた際に誘われ、当初は怪獣役だったが、1話で急きょウルトラセブンを担当。「アイスラッガーの投げ方が良かったんでしょうね。キレイに飛んで記録さんの顔に当たりましたから」。その動きが高く評価され、1話途中からレオ役に変更された。
レオのヌンチャクシーンが登場したのは第11話。ケットル星人との戦闘中、工場の煙突を折り、即席のヌンチャクを作製。さほど見せ場のないまま相手の武器に破壊されてしまうが、フィギュアや関連作品では度々取り上げられるシーンになった。二家本は「レオがやられた先に煙突が3本あって、1本捨てて2本でヌンチャクになる。現場で初めて聞いてやりました。ブルース・リーの『燃えよドラゴン』がはやっていたからでしょう。(ヌンチャクの扱い方は)その場で教えてもらいました」と振り返った。
水中戦が展開された第1、2話でスーツの中に水がたまり、苦しさの余りスーツを破壊した逸話、二家本のプロレス好きが反映された格闘シーンなどのエピソードが語られ、空中技を繰り出した後にマットがない地面に落ちるシーンを「当時は言えなかったけれど痛かった。基本的にマットが用意されていない。落ちろ、と言われたらハイと言うしかなかった」と述べ「レオキックの右足は上がっているけれど、左足は途中から降りてくる。あれは左足で着地、受け身を取るためでした。マットがありませんでしたから。よくケガしなかった、本当によくやったなと思います」と懐かしそうに語った。
映画「月光仮面」(1981年)では飛行中のヘリコプターから落下するスタントを実行。ヘリにしがみついたまま離陸し、スタッフの手違いから高度100メートルで落下の指示を受けた。落下用のマットは視界では数センチ四方の大きさに見えたといい「カメラマンから『行け』と合図されましたが、縦横6メートルのマットが本当に小さくて『行けません』と答えました。自分でも偉かったと思いますね。行ったら死んでいたでしょう」としみじみ。最終的には25メートル程の高度で実施されたとされている。
その後、故松田優作さんの勧めでアクション監督、殺陣師への道にすすみ、北野武が監督・主演した映画「座頭市」(2003年)など、幅広い作品を担当した。両者との思い出、映画「メカゴジラの逆襲」(1975年)でスーツアクターを務めたチタノザウルスの苦労話を明かし、会場盛り上げた。
共演した町田正則は、子役時代に「ウルトラセブン」、実写版「忍者ハットリくん」、映画「網走番外地」などに出演。所属していた東映から演技の幅を広げるため、JACの稽古に出向いた先で二家本と知り合ったという。実写版ハットリくんで披露した分身の術などのエピソードを披露した。イベント後半には「ウルトラマンギンガ」でメガホンを取り、町田が出演する新作映画「特撮喜劇 大木勇造~」の公開を12月9日に控える石井良和監督がゲスト出演した。
(よろず~ニュース・山本 鋼平)