小説家も驚く校閲のさすがな仕事ぶり「噂には聞いてたけどすごい」 虹の時間帯まで考えるやり取りが話題
校閲のプロフェッショナルな仕事ぶりがSNS上で話題になっている。
「噂に聞いてはいたが、書籍の校閲ってすごい…」と校閲が添削した小説の原稿を紹介したのは小説家の外山薫さん(@kaoruroman)。
「(ランチ後に)鮮やかな虹が浮かんでいた」という描写に対し、「ランチ後の時間帯なので太陽が高い位置にあります。ビルの合間の高い位置に虹が見える条件にはあてはまらないように思いますが、いかがでしょうか…?」という指摘。もしこの描写をそのままにしてしまっていたら、一部の読者は違和感を感じ、作品に没頭できなくなってしまったことだろう。プロの校閲のさすがの仕事ぶりに、SNSユーザー達からは「小説家が適当に『上弦の月』とかなんとか書いてたら、それは季節的におかしいとか指摘した例を以前聞いて、すげーなぁ、と思ったのを思い出した(・∀・)」「虹の出る時間帯まで考えてる…!?( ゚д゚)」など驚きの声があがっている。
外山さんにお話を聞いた。
近藤理菜(以下「近藤」):校閲担当者との印象的なエピソードがあればお聞かせください。
外山:実は編集者を介しているので、直接のやりとりはありません。文字のみの繋がりですが、私の作品をきちんと読んで、その上で「こうしたらもっと良くなりますよ」というメッセージを頂いているようで、背筋が伸びる思いです。
近藤:校閲の過程で他に驚いたことがあればお聞かせください。
外山:てにをは直しや間違った言葉の使い方の修正にとどまらず、時代考証や文章の背景、科学的な知識など頂いた指摘は多岐にわたっていました。どれだけ膨大な知識に基づけばこんな仕事ができるのだろうかと、ページをめくるたびに驚きがありました。
近藤:これまでの反響やコメントについてご感想をお聞かせください。
外山:正直、想像すらしていなかった反響の大きさで驚きました。我々が普段手にとっている本が流通されるまでに、見えない所でこうしたプロの仕事があるということを知って頂く機会になれば嬉しいです。
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校閲は2016年にドラマ「校閲ガール」でも注目を浴びた職業。校正が文章の形式的なことを確認するのに対し、校閲は文章の中身や内容を確認する。校閲の仕事には特に資格が必要なわけではなく、社内で経験を積んでいくのが一般的である。
筆者も添削後の原稿を見る機会があるが、校閲にはなみなみならぬ知識量と教養の深さが必要であることがわかる。私たちが手にする本は著者だけではなく、校閲をはじめ、プロの尽力があってこそ作られているものであることを改めて実感した。
なお外山さんは2023年1月30日に、タワーマンションを舞台に中学受験やヒエラルキーをテーマにした小説「息が詰まるようなこの場所で」(KADOKAWA)を発売予定。ご興味のある方はぜひチェックしていただきたい。
(よろず~ニュース特約・近藤 理菜)