水木一郎アニキに捧げる「いい話」人気芸人が披露したアニソンに激怒も、作詞が永井豪先生と知ると一変
アニメ「マジンガーZ」「キャプテンハーロック」、特撮番組「仮面ライダー」などの主題歌で知られ、「アニメソングの帝王」と呼ばれた歌手の水木一郎さん(享年74)が肺がんのため6日に死去していたことが12日、公表された。闘病中も現役にこだわり、最後のステージとなった11月27日のライブには車いすで登場していた。特撮キャラクター収集家としても知られる芸人・なべやかんが、公私ともに縁の深かった水木さんのエピソードや思いをつづった。
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水木一郎アニキが逝ってしまった。子供の頃からアニキの歌うアニソンで元気をもらって生きている。アニキに仲良くしてもらえたきっかけは、河崎実監督作品で自分が実写版「へんちんポコイダー」をやった時だった。
主題歌を歌った事で「アニソン魂」というイベントで司会をやらせてもらい、その時にアニキに初めてお会いした。アニソン最高峰のイベントで自分も「へんちんポコイダーの歌」を歌った。ところがこの歌は「ズボンおろせポ〇チン回る~。チ〇コ、チ〇コ~」という歌詞で、歌っている最中にアニキが怒鳴り込んで来たのだ。
「アニソンの魂のこもったステージで、なんて歌を歌ってるんだ。ふざけやがって。誰がこんな歌詞を書いたんだ!」とご立腹だったので、「歌詞は永井豪先生です」と言うと、「良い曲だ!」とコロッと変わった。それからずーっとアニキには仲良くしていただいている。
食事に連れて行ってもらった事も何度もあったり、なべ親子が名前貸しをした鍋料理屋にも食べに来てくれたり、僕が主催するお笑いライブや単独ライブやトークライブにも来てくれたりした。トークライブでは飛び入り出演してくれ、ゲスト出演していた岡田勝さん(仮面ライダースーツアクター)との打ち上げでの会話はとても印象的だった。
「昔、よくライダーショーで一緒になったよね」と岡田さんが言うと、「歌っている時、邪魔されたよ。何で邪魔したの?」と水木さん。
「だって、俺たちよりギャラをたくさんもらってるって思って、この野郎って思ってたんだ」と岡田さんが言うと、「俺、〇万円だったよ」とアニキが当時のギャラを言った。「え~、俺たちと同じだったんだ!!ごめん、悪かった」。岡田さんはそれまでアニキの事を敵視していたが、ギャラの話を聞いて一気に雪解けし、仲良く昔話に花を咲かしていた。帰る時、アニキから「やかんちゃんありがとう」とお礼を言われたのを覚えている。
現在、自分はエフエム世田谷の全国放送ラジオ「なべやかんのブヒブヒスパークタイム」という番組をやっている。実は秋にアニキに番組出演オファーをしていて、マネージャさんからOKも出ていたのだが、車椅子を使用しているため、いつものスタジオからバリアフリーのスタジオに変更。しかし、確保した時間とアニキのスケジュールが合わず、またの機会にという事になってしまった。必ず次回は来てもらえると思っていたのに。たくさんの思い出とアニキ魂は消えませんので、さよならは言いませんからね。
(コラムニスト・なべやかん)