「おじさんが14歳向けの本を読んでみた」おじさんの書評がきっかけで話題のコミュニケーション指南本とは
「自分はプライドが高いのだと実感。何事をするのもそれをやったときの他者からの評価を気にしている。もうすこし何はともあれ『やりきった』という経験をつみかさねていくことで、もっと楽しくいきていけるようになれるといいな」
「おじさんが14歳向けの本を読んでみた」という書評のツイートがTwitter上で大きな注目を集めている。
14歳向けの本というのはニッポン放送アナウンサー吉田尚記さんの著作「あなたの不安を解消する方法がここに書いてあります。」。2007年から河出書房新社が中高生をターゲットに展開している「14歳の世渡り術」シリーズの一冊で、アナウンサーならではの視点で他人とのコミュニケーション不安の解消をはかろうという内容だ。
「あなたの不安を解消する方法がここに書いてあります。 を読み終えて大変おもしろかった。
忘れるのがもったいなかったので、自分のノートに要点をまとめるほどだった。」と感想をツイートしたボードゲームデザイナーのちゃがちゃがゲームズ・かわぐちさん(@guchi_fukui)にお話を聞いた。
近藤理菜(以下「近藤」):どのような経緯で本を手に取って、読まれたのかお聞かせください。
かわぐち:図書館を歩いているときに、タイトルにひかれて何気に手に取りました。事前情報を知らない状態で読み進めていると、ドンピシャで自分につきささる本だったので驚きました。
近藤:本を読まれてから意識するようになったことがあればお聞かせください。
かわぐち:他人に評価されるかどうかということよりも、自分自身が「とりあえずやりきったわ」という満足感を得られるところまでやってみようと思うようになりました。他人からの評価と切り離して考えることで、自分次第でやりきることができるようになります。そうするとかならず満足を得られるので、この考え方はこれからの生き方に大きなヒントとなりました。
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今回の反響について著者の吉田尚記さんにもお話を聞いた。
近藤:大人にもずばり核心のつく本と話題になっておりますが、執筆の際に意識したことがあればお聞かせください。
吉田:はじめは会話術について執筆してくださいとお話をいただきました。その時ちょうど娘が14歳で娘を見て、そして自分が14歳の時を振り返って、この年頃は「不安」が問題だと感じました。私はアドラー心理学が好きで、人格は12歳から変わらないという話があります。だからこそ14歳も50歳も変わらないのではないかと思っています。14歳ぐらいだったら何が大切か判断し、自分で対応していける年齢ですよね。なので目線を下げずに、この本を書きました。私は14歳を何回も繰り返しているようなので、14歳の方よりも先に起こることだけは伝えることができるかなと思っています。また、話すときにはその瞬間に意味のある言葉を意識していますが、本を書くときは十年後も意味のあることじゃないといけないかなと思っています。
近藤:かわぐちさんのように、対象とした層以外からも反響は大きいのでしょうか。
吉田:パンデミックの最中に出版した本で、SNS上で思ってもいなかった反響を頂くことが多かったです。「なぜかぼろぼろ泣いてしまった。 泣いたり笑ったり感情忙しく読んでます!」など大人の方からの印象深いコメントもありました。また千葉県のある本屋では「死にたくなったら読んでみて」というフェアでこの本が選ばれていたのにも驚きました。
近藤:これまで沢山の書籍を出版されていますが、共通して読者に伝えたいメッセージがあればお聞かせください。
吉田:特に能力のないオタク少年がなんとかやってますという目線で本を書いています。私は「深刻」が嫌いで、物事を解決する際に深刻になる必要がないと考えています。ある方が言っていたことで印象に残っている話があり、世の中のアーティストも同じ伝えたいことを、手を変え品を変え言っているだけなんです。私も手を変え品を変え、物事を解決する際に深刻になる必要はないのではと、シチュエーションに合わせて伝えています。不安だと深刻になってしまいますが、深刻なモードを越えた時に不安は解消されます。深刻になるのはやめようというのが私の伝えたいメッセージです。
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不安は誰にでも付きまとう感情であり、不安とどのように向き合っていくか、この本を読むとヒントが得られるかもしれない。「あなたの不安を解消する方法がここに書いてあります。」の内容は現在、吉田さんのnoteアカウントの「#全文公開チャレンジ」でも公開中。是非多くの方に読んでいただきたいおススメの一冊だ。
(よろず~ニュース特約・近藤 理菜)