自分の会社の歴史を”島耕作風”に 社史をマンガで作る専門サービス爆誕の理由とは
企業の歴史を漫画本にするサービス「社史漫画.com」がこのほどスタートした。
同事業は、広告漫画を制作する株式会社ジガーが手がける。同社の代表取締役・高澤邦彦さんによると、広告制作で培った、人気漫画「島耕作」シリーズの作者・弘兼憲史氏をはじめとする300人以上の漫画家とのネットワークを生かし、好みの画風で社史を制作する点が強みだという。
シナリオは主にジガー社のスタッフが企業関係者に聞き取りをして作り上げる。制作期間は1~2年程度。制作費用は300万~1000万円で、依頼する漫画家やページ数によって変動する。
「人の体験はその人の記憶の中にしかないから、『社長はそんな怖い顔では言っていなかった』とか、細かい修正が増える」。高澤さんは関係者への取材や史料の確認に特に時間を割くと話す。突然病に倒れ帰らぬ人となったカリスマ社長と社員の思い出を約260ページの単行本形式にまとめた作品では、社員30~40人と面談しエピソードを聞き取ったという。
背景や人物の服など細部の情報を含む社史漫画は、文字のみの社史よりも伝える情報量が多い。「『駅前の居酒屋だった』と(関係者が)言ったらそこに行って、外観の写真を撮って、『どの席でした?』と聞いて写真を撮って背景に使えるようにする。そういうことをするとリアリティが出てくるし、取材を受けた人も『そうそう、座っている位置が逆でした』と思い出してくる」と確認作業の重要性を力説した。
コロナ禍で社内コミュニケーションが減ったことや、高度経済成長期を中心とする創業期に働いていたベテラン社員とOG・OBが高齢化したことで企業文化や創業時の逸話が継承されなくなっていると高澤さんは危惧する。ジガー社の調べでは20代の若手で「社史は必要」と考える社員も少なくないといい、「若手の人たちに昔ながらの社史を読めと行っても厳しい。漫画とか読みやすい形で伝えられたら」と今後の展開に期待した。
(よろず~ニュース・今井 佳奈)