藤井聡太五冠が棋王戦初挑戦 佐藤天九段に連勝で決める 年度内六冠へまた一歩前進も「意識せず今まで通りに」

 将棋の藤井聡太五冠(竜王、棋聖、王位、叡王、王将)が27日、東京・将棋会館で指された棋王戦挑戦者決定二番勝負第2局で、佐藤天彦九段に81手で勝利。渡辺明棋王への挑戦権を獲得し、今年度内の六冠制覇達成にまた一歩近づいた。

 「ベスト4以降は2敗失格システム」という棋王戦独自の挑戦者決定トーナメント方式が、六冠への夢をつないだ。11月3日にはベスト4で佐藤天九段に敗れ、敗者復活戦に回った藤井五冠。そこから伊藤匠五段、羽生善治九段を連覇して挑決二番勝負に進出した。

 藤井五冠が挑戦するには連勝しかなったが、今月19日の第1局では振り駒の結果先手となり、横歩取りで完勝。そしてこの日も振り駒の結果、連続で先手に。戦型も同じ横歩取りとなった。中盤までは互角の展開だったが、佐藤天九段の若干の緩手を的確にとがめて優位に立つと、冷静な指し回しでリードを広げて押し切った。終局後は大きな一局を振り返り「序盤から構想が難しくて、桂を取って駒得になって、少しずつ指しやすくなったのかなという風に思います」と、中盤の駒得から優位を意識していたと明かした。

 藤井五冠にとって棋王戦は“鬼門”とされていたタイトル戦。初参加の第43期から2年連続で決勝トーナメント1回戦敗退で、続く2年は連続で予選敗退。昨期は初めて決勝トーナメント初戦を突破したものの、3回戦で斎藤慎太郎八段に敗れていた。ついに成し遂げた初挑戦に「棋王戦ではこれまで上位まで進めたことがなかったので、今季初めてベスト4まで行くことができて、敗者復活戦も含めて何とかたくさん対局することができたので、充実感がありましたし、その上で結果を残すことができてうれしく思っています」と語った。

 渡辺明棋王に挑戦する五番勝負へ向けては「開幕までにまたしっかり準備して、状態を整えて良い将棋が指せるように頑張りたいと思います」と、あくまで淡々。六冠へ向けての思いを問われると「そのことは自分としては意識せずに今まで通りの気持ちで五番勝負に臨めればと思います」と自然体を貫いた。1月には羽生善治九段との王将戦七番勝負も始まり、“ダブルタイトル戦”となるが、「始まってみないと分からないところが多いですけど、体調にも気をつけながらやれればと思います」と、こちらも淡々と語るにとどめた。

 これで公式戦6連勝、そして直近の3戦はすべて佐藤天九段に勝利した。敗れた相手にきっちり“3倍返し”で隙を見せないのが藤井五冠の強さ。今年度の成績は34勝7敗、勝率・829と例年通りの高水準を保っている。

(よろず~ニュース編集部)

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