おみくじ筒の中から線香が!そのまま焚ける「おみくじ線香」が人気 凶が出ても神社ですぐ浄化
老舗の線香メーカー奥野晴明堂(大阪府堺市)が、関西大社会学部・上野恭裕ゼミの学生と共同で「おみくじ線香」(1本300円)を開発した。正月三が日に堺市の開口(あぐち)神社境内でテスト販売し、約180本が売れる人気となった。
木製のおみくじ筒の中に番号が振られた線香が入っており、神社でおみくじを受け取った後はそのまま焚くことができる。凶が出た場合は「悪い気」を浄化、大吉が出た場合でも「悪運を遠ざける」など清める意味があるという。同神社で販売されるおみくじの3倍の値段にも関わらず、特に女性や家族連れがおみくじ線香を選んだ。
線香は堺市の伝統産業のひとつだが、市民にあまり認知されていない現状がある。活性化をめざした同市のビジネスアイデアコンテストで、審査員特別賞を受賞した学生のプランを採用。細長い線香が「おみくじに使えないか」という発想が製品化された。若い人にはあまりなじみがない「線香を焚く」ことを身近にし、インスタなどでの発信で「映える」コンテンツとしての拡散を狙う。
奥野晴明堂代表取締役の奥野浩史さんは「新しい市場の開拓ができると思った。こうした製品は、まずは販売してみるところから始め、徐々に火がついてくるもの。SNSを活用した広報を展開すれば、ひとつのブームを作り出せる可能性がある」と、参加型イベントへの消費意欲が高い若い世代への浸透を期待した。
関西大社会学部のゼミで、経営管理や経営戦略を教える上野恭裕教授は「私には考えつかないような柔軟なアイデアで、大変素晴らしいアイデアだと思う。若者が線香になじみを持って、伝統産業が活性化すれば」と正月三が日の販売を見守った。おみくじ線香の他にも、線香に自身の「黒歴史」を書き、燃やしてしまう“黒歴史線香”の販売も予定しているという。
境内で販売していた同大4年生でゼミ生の中井佳子さんは「若者に線香を広めたいという思い。おみくじは一年に一回引くものかなと思ったので、若者をターゲットにしてつくった。おすすめしたら『やってみようかな』とひいてくれる方が多かった」と、手応えを感じていた。
(よろず~ニュース・杉田 康人)