コロナを明るく、怪獣は伝統の特撮技術で「特撮喜劇 大木勇造 人生最大の決戦」監督が思う二人の師 

 怪獣、笑い、ミュージカルにアクションと“なんでもアリ”コメディ「特撮喜劇 大木勇造 人生最大の決戦」が21日から27日まで、大阪・シアターセブンで上映される。「トラック野郎」シリーズの故・鈴木則文監督、「ゴジラ」などの東宝作品を支えた故・川北紘一特撮監督に師事した経歴を持ち、「ウルトラマンギンガ」などの特撮作品を多く手がけてきた石井良和監督(57)に話を聞いた。

 世界が新型コロナウイルスの脅威に晒された2020年の日本を舞台に、リモート生活を満喫するも、あっさりとリストラされた主人公のサラリーマン大木勇造(藤田健彦)が、再就職先のクレイジーな面々とともに、突如出現した怪獣ヴァイラスキングとの決戦に挑む物語。ハチャメチャなギャグ、ミュージカルに、着ぐるみやミニチュアを用いた特撮、アクションが加わった。

 石井監督は「暗い作品ばかりの新型コロナという題材でも、はじけたものがあってもいいなと思いました。ばかばかしいものを連続させていますが、特撮もしっかりやっています。今はジャンルで映画を見る人が多いので、それを壊したい気持ちもありました」と語った。

 かつて師事した鈴木監督と川北特撮監督から受けた影響と使命感がある。

 「喜劇の部分は、鈴木さんによるものが大きいですね。映画は娯楽だ、お客さんのものである、と教わりました。今回はばかばかしいものを上乗せしすぎちゃったかもしれませんが、師匠がそうでしたから」と述懐。過剰な演出、エンターテインメント要素を少し照れながらも、誇らしげに語った。

 また、川北特撮監督らが培ってきた特撮技術を、後世に伝える思いがある。ヴァイラスキングの着ぐるみ、スーツアクター、ミニチュアを絡めた特撮は懐かしく、どこか人間味を感じさせる。「今はCGに取って代わられていますが、着ぐるみやミニチュアの技術を何かしら残していきたい。撮影はウルトラマン作品に携わったカメラマンです。誰でもできるわけではない。CGを否定しませんが、着ぐるみやミニチュアの技術を残すためにも、撮り続けなければいけない」と語った。

 撮影は21年5月に行われ、東京都の方針から都内では行えず、埼玉で実施。女優の参加が想定外に少なかったオーディション、撮影中にミュージカルシーンに疑問を抱いた役者が自ら降板、なかなか決まらなかった上映館など、苦労とアクシデントが続出した。それでも石井監督は努めて前向きに「とにかく見ていただきたい。ばかばかしいんですけど、暗い世の中だからこそ楽しんでもらいたい」と呼びかけた。

 米国ではカンザスシティアンダーグラウンド映画祭最優秀長編映画審査員賞、アルゼンチンのブエノスアイレス・ロホ・サングレ入選、フィリピンのパブジャン国際映画祭入選を果たした。国内では昨年12月に池袋HUMAXシネマズで上映。大阪の後は、名古屋・シネマスコーレでの上映が予定されている。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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