インド映画を多く日本で見られる日がやってくる!『バンバン!』は胸熱 イキな台詞、キレッキレのダンス
インドの大作といえば歌にダンスに派手な仕掛けに壮大なロケ、そしてアクションとラブストーリーが混在する映画が日本ではお馴染み。しかもハリウッドの3倍と言える年間約2000本の映画制作が行われており、世界No.1の映画大国インド。それだけライバルが多い中で生まれる映画は満足度が高いものが多く、すでに世界では話題だったが再び日本でも注目されている。いわゆるボリウッド(ヒンディー語)ムービーかと思われる今話題の『RRR』はトリウッド(テルグ語)ムービー、しかもインド映画史上最高額97億円をかけて製作された超大作。それもS・S・ラージャマウリ 監督の『バーフバリ』2作の世界的ヒットのお陰に他ならない。
実はリメイク物も多く製作されていて、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『フォレスト・ガンプ/一期一会』などもあるが、本作はトム・クルーズとキャメロン・ディアスが共演したアクション映画『ナイト&デイ』のリメイク。とはいえ、大筋は変わらないが随分と改訂され、2人の出逢いから互いのバックボーン、アクションシーンも増量されており、オリジナリティ溢れるエンターテイメント作品に仕上がっている。
ハリウッド版もトムがほぼアクションを務め、得意なバイクアクション、カーアクション、ガンアクションを甘いマスクでロマンティックなシーンを交えて披露しているが、インド版は更にロマンティック!日本では『スーパー30 アーナンド先生の教室』が昨年公開されたリティク・ローシャンが、トムも驚くであろうシックスパックを見せつつアクションに挑戦。建物を飛び回るわ、カーアクション、バイクアクション、はたまた水上スキーと水上を飛魚のように飛ぶフライボードでのアクションまで予想の斜め上を行く映像で楽しませてくれるのだ。もちろん、ハリウッド版の名シーン抱っこハグのバイクアクションはこちらにも存在。
そして観客も歌って踊れる仕掛けも満載。国際指名手配らしく、インドの各地、アブダビ、プラハ、ギリシャの島、タイのプーケット島他で撮影が行われ、衣装も変えつつロマンティックな歌とダンスシーンも繰り広げられる。実は本作で話題となったひとつにダンスシーンがあり、インド映画の名ダンスシーンとして名が上がる「あなたは私のもの」は確かに美しい。しかし個人的にはエンドロールでリティクとカトリーナ・カイフがダンサー達とキレッキレのダンスを披露する「バンバン!」に胸熱。しかもハリウッド版より、ロマンティックなセリフ、決めセリフが多いので、イケメン俳優リティクの瞳から逃れられない結果に。
考えてみれば2014年のボリウッド・ムービーが今年日本で公開されるのも、『ムトゥ 踊るマハラジャ』(日本公開:1998年)でのブームが第一波とするなら、その後の『きっと、うまくいく』(日本公開:2013年)からジワジワと話題を呼び、『バーフバリ』で第二波がやってきたこと、そして古参のインド映画ファンの地道なSNSによる布教活動の賜物により、今までインド映画の面白さに気づいていた配給元が、更に大手を振って買い付けられるようになったのではなかろうか。間違いなく日本でインド映画を多く見られる時代がやってくる。そう確信している。
(映画コメンテイター・伊藤さとり)