デートでは男性がおごるべき?世間で話題の「論争」無難な着地点を見出す言葉とは
ネット上で「デート論争」が起きている。セクシー女優が「デート代は男性が出して欲しい」という旨の意見をツイートしたことに端を発し、著名人も含んでSNS上で賛否両論が展開された。そうした局面を体験した人も少なくないだろう。「大人研究」のパイオニアにして第一人者で『大人養成講座』など多くの著書を世に送り出してきたコラムニストの石原壮一郎氏がその対策を指南する。
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【今回のピンチ】
職場の飲み会で「デートの食事は男性がおごるべきか談義」に。「不公平だよな」と言ったら、ひそかに狙っている同僚女子が「やだー」と顔をしかめて露骨にドン引きした……。
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「デートの食事代は男性が出すのが当然よ」「男女平等の世の中なんだから、それはヘンじゃないの」「女性は洋服やメイクにお金がかかるの」「それを言ったら男だって」「ケチ臭いわね、男のくせに」「出すのはいいけど『当然』と言われるとムカつく」……。
何十年……いや、もしかしたら何百年何千年も前から、延々と繰り返されている議論です。最近も、とある女優さんのツイートをきっかけに、激しい論争が巻き起こりました。
結局のところ、時と場合と考え方によるわけで、普遍的な正解はありません。おごらない男性を軽蔑する女性もいれば、おごられるのが嫌いな女性もいます。
デートに挑む男性にとって最も大切なのは、仲良くなりたい女性の要望に合わせること。下心という強大な力の前では、自分のポリシーや懐事情なんて二の次です。
飲み会の何気ない会話で、狙っている同僚女子との価値観の違いが浮き彫りになりました。このままでは、アプローチする前に「対象外」の存在になってしまいます。古語で言うところの「アウト・オブ・眼中」です。
まずは、あわてて「いやいや、そういう意味じゃなくて、おごるのが嫌なわけじゃないんだけど……」などと言い繕って、相手の出方をうかがいましょう。
その女子が当たり前のように「おごってくれなかったら、次はないかな」的な持論を語ったとします。そしたらすかさず、
「そうだよねー。でも、○○ちゃんとデートしておごらない男はいないと思うよ」
そんな言い方で高めのプライドをくすぐりましょう。続けて「なにが公平で、なにが不公平かは難しいよね」と言っておけば、気まずさを最小限に抑えつつ、この話題を無難に着地させることができそうです。
ただし、相手に合わせてご機嫌を取るだけがピンチの切り抜け方ではありません。狙っている同僚女子を深く知るチャンスだととらえて、果敢に議論を深める道もあります。
たとえば、ストレートに「○○ちゃんは、男がおごるのが当然だと思う?」と尋ねるのも一興。「だって女性は洋服やメイクに……」と、どっかの女優と同じ強気な理論を繰り広げてくるか、あるいは「全額じゃなくていいけど、きっちり割り勘は寂しいかな」ぐらいの控え目なスタンスなのか、それによって人柄を知ることができます。
もし前者なら、自分が、お金がかかる女性が好みで、女性にお金を使うことを喜びと感じる性分じゃない限り、狙うのはやめたほうがいいでしょう。後者だったら、引き続き親ぼくを深める努力を続けるのがいいかも。
この手の論争には、「ミスマッチを防ぐ」という効用もあります。だからいつの時代も、繰り返し話題になるのかもしれません。
(コラムニスト・石原 壮一郎)