東日本大震災から12年 王林が語る被災の記憶と今後への歩み
青森県在住で、昨年3月にご当地アイドルユニット・りんご娘を卒業して東京を拠点に活動するタレント・王林がこのほど、よろず~ニュースの取材に応じ、11日で発生から12年を迎えた東日本大震災についての思いを語った。
王林が被災したのは小学校6年生の時で、当時は青森市内に住んでいた。「学校に行って、卒業式の何日か前とかで、私はその瞬間はトイレに行ってて、しゃがむトイレ(和式)にいたんですよ。そしたらいきなり、トイレから水が出て来たんです。何が起きてるか分からなくて、私はしゃがんでるから、揺れてる感覚がなくて、自分が勝手に動いてる?って思って立ち上がったら、すごい揺れてて『ええっ!?』ってなって。学校中が大騒ぎで、みんなパニックになってました。あんなに大きい地震は生まれて初めてで、私が住んでいた所は停電が何日間か続いたということはありましたが、建物が崩れたりとかということはなかったです。それでもすごい怖い思いが強かったですね」と、生々しい思い出とともに恐怖を口にした。
当時は「りんご娘」の妹分にあたる「アルプスおとめ」のメンバーだ。震災から数日後、大きな被害を受けた岩手県の街を訪問し、チャリティーライブを行った。その時の強烈なイメージは、今も残っている。「やっぱりニュースで見るものは、目だけの印象じゃないですか。それが現地に行って、そこの何とも言えない匂いだったりとか、視覚じゃないところから来るものを一気に感じて、精神的にはきつかったです」という。
そこで行った活動が、王林を変えた。「そんな状況中でも、生きていかなきゃいけない人たちはいるわけじゃないですか。そういう方々に、自分たちができることでちょっとでも、一瞬でも明るい気持ちになってもらいたりしたらと思って、ライブをさせてもらったり、子どもたちと一緒にちょっとスポーツして遊んだり、おじいちゃん、おばあちゃんとお話させてもらったりしたんですけど、その方々が持っているパワーがすごくて…。その時は自分が逆に気持ちをやられちゃって、被災地の皆さんにすごい元気もらったんです。『来てくれてありがとう』っていう言葉を、まさかいただけると思ってなかったんですよね。ありがとうって言える余裕さえないと思っていましたから。私たちに対して明るい言葉をかけてくれるところに、すごい気持ちが動かされたことをはっきり覚えていますし、それが芸能人として今活動している私の原点の1つでもあると思うんです」と笑みを浮かべた。
今年1月には、1995年に阪神・淡路大震災の被害を受けた神戸市を訪問し、チャリティーイベントにも出演した。「復興した姿も見せていただきましたし、神戸の方とお話ししていて、『被害を受けて悲しい』とか、『地震があったせいでこうなってしまったんだ』とかではなくて、『地震があったけど、みんなで頑張って行こう。今はこうやって、みんなで手つないで頑張っていけてるんじゃないか』っていう風に気持ちを変えていかれてたのが印象的で…。私たちも、みんなで震災という出来事を忘れずに、今後も前を向いて行きたいと思っています」と言葉に力を込めた。
(よろず~ニュース・福島 大輔)