「ひとりっ子」「Z世代」など“ラベリング”で失言!やばい状況を切り抜ける最適な話題とは
相手の「属性」からレッテルを貼ってしまうこと、つまり「ラベリング」によって相手の性格などを決めつけ、会話の中で気まずい雰囲気になることがある。そんな失言をしてしまった時、あなたならどうする?「大人研究」のパイオニアにして第一人者、『大人養成講座』『大人力検定』など多くの著書を世に送り出してきたコラムニストの石原壮一郎氏がその打開策をお伝えする。
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【今回のピンチ】
取引先とトラブル。隣りの席の後輩に「あの担当者、自己チューでさ。ひとりっ子はダメだな」と嘆いた。すると後輩が、ポツリと「僕もひとりっ子です」と……。
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「ひとりっ子だからどうこう」「Z世代はどうこう」など、私たちの日常生活にはさまざまな“ラベリング”があふれています。ある程度の特徴や傾向があるにしても、当然ですが「人によって違う」のが大前提。
しかし、人は想定を超える事態に遭遇すると、反射的に「わかりやすい理由」を求めずにはいられません。そんなときに便利なのが、この手のラベリングです。
取引き先の担当者は、こちらの都合を考えずに要求をコロコロ変えてくるなど、ちょっと困ったタイプ。今回も相手の身勝手が原因のトラブルが発生し、腹立ちまぎれに後輩に愚痴をこぼしてしまいました。
ところが、担当者のダメさと「ひとりっ子」を結びつけたのが大失敗。目の前の後輩もひとりっ子で、気まずいことこの上ないピンチに陥ってしまいました。明らかに自分がウカツでしたが、誰しもうっかりダメな発言をしてしまう可能性はあります。
あわてて「いや、○〇君は別だよ」と取り繕っても、もはや手遅れ。「この人は、ひとりっ子に古臭い偏見を持ってるんだな」というイメージを拭い去ることはできません。
知的な方向でリカバリーを図るとしたら、自分の気持ちを詳細に分析するのが有効。たとえば「あまりに腹が立ったから、どこかに理由を探したくなって、古典的なラベリングに頼ってしまった。偏見だとわかっているはずなのに。ああ、自分が情けない……」といった調子でしょうか。失言を自覚して反省していることは伝わりそうです。
自分自身や身内がひとりっ子の場合は、罪を軽くしようとして「じつは俺も(or妻も)ひとりっ子で、いつもその気質に悩まされているから、つい……」と言ってしまうことも。しかし、これは完全に逆効果。目の前の後輩を「ダメなひとりっ子」と見ていると、さらに強調することになります。
毒を以て毒を制すというか、かくなる上は、もっと安直で根拠がないラベリングを持ち出してきましょう。まずは「えっと、○〇君の血液型は何だっけ?」と尋ねます。たとえばA型だと言われたら、納得した口調で、
「ああ、A型は大丈夫! A型のひとりっ子は最強なんだよ。さすがだなあ!」
そう力強く言い切ります。もちろん、何型であっても、その血液型が「最強」なのは言うまでもありません。
根本的な解決にはなっていませんが、ひとりっ子に根深いマイナス感情を抱いているイメージや、間接的に後輩を侮辱した失礼な印象は、何となくやわらぎそうです。後輩からは確実に「ラベリング好き」というレッテルを貼られますが、そこはウカツな失言をした代償として甘んじて受け入れましょう。
(コラムニスト・石原 壮一郎)