ステージ4がん闘病描いた漫画家ガンプ「先のことは考えない。次の原稿が上がればいい」
漫画家のガンプ氏(43)が8日、東京・浜離宮朝日ホールで朝日新聞社が主催する第27回・手塚治虫文化賞の贈呈式に出席した。がんとの闘病を描いた「断腸亭にちじょう」において、巧みな筆致で詩情的に表現した独自性が評価され新生賞に輝いた。ガンプ氏の要望で撮影は不可となったが、ユーモアをまじえながら感謝と喜びを口にした。
ガンプ氏は「なんかすごい賞をいただいちゃって。過分な評価をされて、正直悪い気はしないというか、うれしいです」と切り出し、笑いを誘った。大腸がんは肝臓に転移し、ステージ4だった。「連載当初は体調を心配してもらいましたが、放射線治療がうまくいって、手術から3年半がたって、今は健康に問題なく漫画が描けている状況です」と説明した。
がん告知後は投げやりにもなったという。「僕が頑張ったんですけど」と前置きしつつ「病気になったとき、離れていく人もいましたけど、サポートしてくれる人がいて漫画が描けています」と妻、担当編集者に感謝した。再発の恐れは常にあるが「先のことは考えず、次の原稿が上がればいいと思っています。目の前のことに集中して、仕事が続けられればいい」と作品への思いを口にした。
なお、贈呈式前には選考委員の漫画家・里中満智子氏から激励を受けたといい「里中さんからエネルギーをビームのようにもらいました」と感謝していた。
ガンプ氏は1980年生まれ。2009年に商業誌デビューし、名義を変えながら活動を続ける中、2019年1月に大腸がんの告知を受けた。闘病を経て21年11月より「断腸亭にちじょう」の連載を開始した。
贈呈式にはマンガ大賞に輝いた「ゆりあ先生の赤い糸」の作者・入江喜和氏、「女の子がいる場所は」で短編賞に輝いたやまじえびね氏、特別賞の楳図かずお氏も出席した。
(よろず~ニュース・山本 鋼平)