アクション、サービス、魅力も衰え知らず!トム・クルーズ「ミッション:インポッシブル」最新作
トム・クルーズは同じことをするのを嫌う。それは来日イベントにおいても同じで、毎回、ファンへのサプライズを用意して欲しいと映画配給会社に伝えるほど。そんなことから今までもボートに乗って登場したり、ヘリコプターから姿を現したり、新幹線をジャックしてファンと交流するなど、不可能を可能にするセレブイベントを行なってきた。
しかもファンミーティングもどのスターよりも長く時間を取る。今回はハリウッド俳優組合のストライキにより、プロモーションも行えなくなり来日は断念することになった。今作では25回目の来日となるはずだった。それでも先に公開された国では大ヒットを記録、トム同様衰え知らずの最強アクション『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』なのだ。
まさにサプライズを期待するファンの為に生きていると言っても過言ではないトム・クルーズのライフワークが『ミッション:インポッシブル』シリーズであり、映画でワールド・ツアーをするのも彼の生きがいとなっていたのだから日本に来ることができないのは本人も無念だろう。
その最新作「デッドレコニング PART ONE」は日本公開は7月21日に。そしてこのタイトルで察しがつくだろうが前後編を予定。後編は来年6月公開と伝えられている。しかも『ミッション:インポッシブル』シリーズ初の2部作という試みは『トップガン マーヴェリック』の撮影中に、本作品の監督も務めるクリストファー・マッカリーとの話で思いついたそうだ。
現在、61歳となるトム・クルーズ。スタントを自身でやることにこだわっている彼は、今回も前人未到のアクションに挑戦。それが予告編にも登場するバイクで走りながら崖から落ちるという高所恐怖症なら気絶するスタントだ。実際には海抜1,200メートルのノルウェーのヘルセツコパン山の側面に作られた傾斜台をバイクで走り、約1,200メートル下の渓谷に落下した後にパラシュートが開くという設定で撮影。これを7回も繰り返したトム・クルーズ、恐るべし。しかもこのスタントはトムが8歳の時に思いついて、当時、ベニヤ板で簡易ジャンプ台を作り自転車で滑走したものがベースだと語った。
『ミッション:インポッシブル』は1996年に公開されてから今作でシリーズ7作目。お決まりのバイクアクションからスカイダイビングまで、本人が挑んでいることを証明する為に、カメラはズームでトムの顔を捉える。そのせいもあり、パラシュートで岩山を避けながら降りてくるシーンでさえヒヤリとする。
あくまでも娯楽に拘るトムは、カースタントにも笑いを取り入れ、『ルパン三世 カリオストロの城』とお揃いのFIAT500で、今作のヒロイン役のヘイリー・アトウェルと手錠をつけたまま二人三脚のドライビングテクニックを披露するのだ。しかも今作の共演でトムと恋仲になったと囁かれている人物。そう知って映画を見るとやけにドキドキしてしまう。他にも今回の敵の一人に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のマンティスで知られる韓国系とフランス系ロシア人の血を引くポム・クレメンティエフがキャスティングされ、アクションを披露しているのは映画ファンとしては嬉しい。さらには以前シリーズに登場したレベッカ・ファーガソンやヴァネッサ・カービーも姿を見せ、それぞれの見せ場もあり、今まで以上にスクリーンが華やいでいた。
シリーズを追うごとに男性も女性も益々強くなる『ミッション:インポッシブル』はトム同様、衰え知らずの最強アクション・シリーズとして爆走し続けるだろう。
(映画コメンテイター・伊藤さとり)