チームは最下位でも観戦をエンジョイできる中日ファン その理由とは

 プロ野球セ・リーグで最下位に沈む中日のファンは、苦しいペナントレースのどこに救いを求めればいいのだろうか。そんな難問のヒントとなりそうな一人の女性がいる。千葉県在住のOver EAU Ball(オーバーオーボール)さんは、長年審判に注目した同人活動を続けている。12日に東京ビッグサイトで開催された世界一の同人誌即売会コミックマーケット102では、1980年代生まれの若手に着目した新刊「審判様々っ!! 2023」を頒布。「チームは調子が悪くて負けが込んでいても、審判を見ていたら楽しい」と、並々ならぬ“審判愛”を口にした。

 NPB審判員の構え、特徴、装具の身に付け方、経歴などを、イラストと簡潔なメモで紹介。敷田審判員の卍ポーズ、白井審判員の甲高いコールは有名だが、各審判員にさまざまな個性が存在していることに気付かされる。

 2007年に中日と日本ハムが対決した日本シリーズ第5戦、完全投球を続けていた山井を九回に降板させた試合を観戦し、中日ファンとなった。2010年、中日の試合をリポートする同人活動をスタート。同年に神宮球場で行われたヤクルト戦、右翼線の微妙な判定に落合監督が抗議する姿を目にし、審判への憤りが募った。常に審判の名前を確認し、ジャッジを意識するようになった。

 「審判が目立つのは悪い時ばかり。どれだけ球場が沸いていても、大事な一戦でも、冷静にジャッジを続けることは大変なこと」

 一時の憤りは、尊敬の気持ちへと変化していた。2012年から審判をテーマとした同人誌を出すようになった。2020年シーズン限りでNPB審判を引退し、実家の寺を継いだ佐々木昌信さんがお気に入りだったという。

 「(中日投手だった)山内(壮馬)さんがワンバウンドになりそうな球をヒットにした時、一塁塁審の佐々木さんが話しかけている表情が豊かで好きになりました。体が大きくて、ジェスチャーも格好いい。ある大事な試合で、最後の見逃し三振をコールした手を、そのまま少し静止させていたシーンも良かったですね」

 一方、ネット上では“誤審”などの悪目立ちに注目し、該当審判を酷評する声も珍しくない。神宮球場など、プレー中に常時は審判名が表示されないスコアボードも増えてきた。審判への敬意は全体的に落ちているようにも見える。

 「普段は審判の名前を意識せず、悪い意味で目立った時だけたたく人は多い。それぞれがたくさんの個性を持った人間だと認識したら変わると思います。そこに、私の活動がつながればうれしい」と、うなずいたオーバーオーボールさん。中日は最下位だが「審判には勝ち負けはありませんから」と笑った。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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