インド映画で女子相撲!異色作品が東京で世界初上映「相撲が生まれた日本で、うれしさで一杯」
異色のインド映画が日本で世界プレミア上映を果たした。開催中の東京国際映画祭で27日、「相撲ディーディー」が上映され、ジャヤント・ローハトギー監督らが登壇した。
優秀な柔道選手のヘタルはふとしたきっかけで相撲と出合うが上達への道は遠く、敗戦が続くが、日本へ渡り、厳しい稽古に耐え、夢を追い求めるインド女子相撲選手の姿が描かれた。女子相撲に挑んだヘタルの実話をもとに、エンタメ作品として完成した。
ローハトギー監督は「日本のスポーツ、女性の相撲取りの話です。世界初上映が日本なのはこの上ない幸運です」と喜んだ。ストーリー、プロデューサーを担ったアルナヴァ・セーングプタ氏は「相撲という競技はインドでは知られておらず、製作は本当に大変でした」と、千葉で行われた日本ロケの協力者の名を挙げ、感謝を口にした。
脚本のニキル・サチャン氏は「ヘタルさんが到達すべき地点に、映画を通して立たせることができました。小さな新聞記事で彼女のことを知り、経済的な理由で相撲を続けられないとありましたが、この映画で彼女の旅を完結させました。相撲が生まれた日本で上映され、うれしさで一杯です」と感慨深げに話した。
ローハトギー監督は「師弟関係の神髄、日本文化を描きたかった」と吐露。ヘラルを演じた女優はモチーフとなったヘテルさんも参加した9カ月間のトレーニングを経て、相撲選手としての姿を整え、さまざまな国籍の柔道、相撲選手も参加し、相撲シーンを描いたという。
インドではクリケット、サッカーなど一部のスポーツを除いて、女性のスポーツ参加には障壁があるのでは、という観客の質問に対し、セーングプタ氏は「インドではクリケットは神様のようなもの。皆がいつも見て、楽しむ男女問わず抑圧のようなものは全くありません。ホッケーやサッカーも人気がありますが、相撲に関しては誰も知らない。その中でヘタルがあそこまで上り詰めたことは、全て彼女自身の力によるものです」と作品内容を交えて説明。「現在は政府がスポーツの奨励、振興にかなり注力し、起業もスポンサーになっています。さまざまなスポーツにも波及していますが、この映画がその流れをさらに押し進めてほしい」と期待を寄せた。
インド国内では映画館での上映、オンライン配信が目指されている。日本公開は未定だが、インド映画は大ヒットした「RRR」などなじみ深い。日本での期待感が高まることを願うローハトギー監督たちは、観客からの撮影を求める声など気さくに応じていた。
(よろず~ニュース・山本 鋼平)