キム・ギドク監督 コロナ感染で死亡から3年「MeToo運動」で"鬼才"から"加害者"へ、晩節を汚し生涯を閉じる

 韓国映画界から世界にその名を馳せたキム・ギドク監督(当時59歳)が死去して、11日で3年の歳月が過ぎた。

 故人は当時ラトビアの永住権を取得し、海外を拠点に活動をする計画だったが、12月5日のスケジュールに姿を見せず、側近たちもキム監督と連絡がつかないことから捜索を行った結果、新型コロナウイルスに感染し現地の病院へ入院していることが判明。そして12月11日の午前、現地で息を引き取ったと報じられた。

 キム・ギドク監督は1996年に映画「鰐~ワニ~」で監督デビュー。以降「魚と寝る女」「受取人不明」「悪い男」などの大ヒット作品を世に放ち“鬼才”と呼ばれるように。そして「世界3大映画祭」と言われる「カンヌ国際映画祭」「ベルリン国際映画祭」「ヴェネツィア国際映画祭」から招待を受け、これら映画祭の本賞全てを受賞した唯一の韓国人映画監督となった。

 しかし2017年、映画「メビウス」に出演予定だった女優から「監督から暴力を受け、台本にないベッドシーンを強要され、降板せざるを得なくなった」として告訴される。キム監督は「必要だったことであり、暴力ではない」と否定したが裁判所は暴力があったことを認め、罰金500万ウォン(約50万円)の略式命令を下す。また2018年には「MeToo運動」の加害者としてその名が浮上。MBC「PD手帳」では、キム監督の作品に出演した複数の俳優が、暴力や性的暴行を受けたことを告白した。キム監督は「報道内容が虚偽だ」とし、証言者2人とMBCを相手取り10億ウォン(約1億円)の損害賠償訴訟を起こしたが、裁判所はこれを全て棄却している。

 キム・ギドク監督の訃報は、被害者へ謝罪することなく騒動から逃げるように国外から姿を消した後の知らせだったことから、韓国メディアでも追悼コメントを出すことはタブーとされた。

(よろず~ニュース・椎 美雪)

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