安納サオリ ワンダー王座初戴冠「さらに高みを!!」なつぽいとの防衛誓う、スターダム両国大会

 スターダムの年内最終興行「STARDOM DREAM QUEENDOM 2023」(29日、東京・両国国技館)が行われ、ワンダー選手権試合は挑戦者の安納サオリが初戴冠を果たした。24分43秒、ジャパニーズオーシャンスープレックスホールドで4度目の防衛を目指したMIRAIを破り、第20代王者に就いた。

 白いベルトを腰に巻いた。感無量の様子だった安納は、表情を引き締めた。「私は、今年さらに輝くことができたかな?まだ行くよ。もっともっと行くよ。このベルトとともに。もっとさらに高みを目指していく!私がワンダー・オブ・スターダムチャンピオン、安納サオリです!」。タイトルの重みをかみしめた。

 30分ドローに終わった11・18大阪大会に続くベルトをかけた再戦。安納はMIRAIの絞め技、関節技で体力を削られるも、雪崩式フランケンシュタイナーから反撃開始。鎌固めから極楽固めで消耗戦へと引きずり込む。王者の変型裏投げ、ラリアートを耐え、ミラマーレショックを、逆方向のフランケンで切り返し、延髄斬りとジャーマン3連発。最後は飛龍原爆、タンタンドル、相手の手首を握りしめた変形原爆固めで3カウントを奪った。

 2015年にアクトレスガールズでデビューして8年。ついに女子プロレス界のビッグタイトルを手にした。「デビューしたての頃、スターダムに参戦させてもらって、リングの下から見て、挑戦なんかできないだろうなと思っていたベルトでした」と回想。当時、宝城カイリ(現KAIRI、米WWEカイリ・セイン)から「サオリはいつか白いベルトだね」と声を懸けられ恐縮したという。「あの時の言葉が現実になって、感慨深いですね」と目を細めた。

 転機は2019年末にアクトレスガールズを退団し、フリーに転身した直後、コロナ禍に見舞われたことだった。「試合ごとに悔しさ、楽しさ…もっともっと、という思いだったのに、フリーになっていきなり活動できなくなった。久々にリングに立った時、全然楽しくなくて、もう向いていない、辞めようとも思いました。でもそれは、私だけではない。言い訳だったのかも」。その後、各団体で注目を集めるが、同期のなつぽいらが活躍するスターダムに悔しさを幾度も感じたという。

 今年4月、KAIRIに導かれ、約6年ぶりにスターダムに参戦。KAIRI、なつぽいとの3人タッグでアーティスト王座、なつぽいとのタッグでゴッデス王座を獲得。そして、シングルのベルトを巻いた。「あの悔しさを回収できた」と達成感を感じつつも「覚悟を持ちました。今までのチャンピオンの思いを受け取ってこれから戦います」と前を向いた。

 そして、両親への感謝を口にした。「母には何でも話すので、落ち込んだ時も支えてもらいました。地方でも、今日も会場に来てくれた母、父はいつもすごく心配していると思う。元気な姿でリングを降りることが親孝行だと思っています。たくさんの方に支えてもらいましたが、ベルトを巻いて、両親のことが頭に浮かびました」と語った。

 バックステージでは、セコンドについたなつぽいと言葉を交わした。「巻いた瞬間に思った。なつみと(タイトル戦を)やりたいなって。だから待ってるから、なつみの帰りを」。首の負傷で欠場中の盟友でありライバル、なつぽいとの約束を果たすまで、王者として輝き続ける。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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