急逝した漫画家・中森愛さん、双子の兄で漫画家・五藤加純さんが追悼同人誌を頒布「まだピンとこない」

 昨年暮れに開催されたコミックマーケット103(23年12月30・31日、東京ビックサイト)に漫画家の五藤加純さんがサークル参加。昨年11月25日に心筋梗塞のため67歳で急逝した一卵性双生児の弟で、漫画家の中森愛さんを追悼した。

 五藤さんは1982年にデビュー。漫画大快楽、漫画ブリッコ等で90年代にかけ、ロリコン調のコメディ作品を発表。中森さんも同じ作風で、翌年にデビュー。二人は商業誌だけでなく、同人活動も継続させてきた。絶版作品を扱う電子書籍サイト「マンガ図書館Z」では、五藤さんの「移動性高気圧」「猫よりたいへん♥」、中森さんの「レモンSOS」「ももいろミルク」などが配信されている。

 コミケでは、中森さんが死去当日の朝まで作業していたというイラスト集「二人でロリコメばかり描いていた SNSイラスト集」と、中森さんの死去後に五藤さんが弟との掛け合いを創作した「イタコの加純ちゃん 二人でロリコメばかり描いていた」などが頒布された。五藤さんは「顔も性格もよく似ていると言われましたが、僕から見たら自由奔放な弟でした。漫画も僕は真面目な方に走るのですが、弟は絵柄も内容も自由でした。弟がいなくなったのは、まだピンとこないんですよ。ひょっこり姿を見せそうで」と語った。

 五藤さんは中学2年生の時、中森さんと一緒に、漫画の創作をスタート。初期の藤子不二雄のような合作ではなかったが、ともに吾妻ひでおから強く影響を受けたという。「別冊マーガレット」「花とゆめ」などに投稿していた学生時代を経て、会社勤めをしていたころ、「漫画大快楽」(檸檬社)の編集者だった中森さんからの依頼で作品を描き上げ、1982年2月に同誌増刊号に掲載された「ああ快感!」でデビューした。檸檬社は同年夏に倒産。中森さんは編集者の勉強のため自力で作品を描き、翌年にデビューしたところ、そのまま作家活動に突入。別名義ながら、ともにエロコメを描く漫画家の双子が誕生した。

 中森さんの訃報をSNSで報告したところ、想像を超える反響が起こった。「こんなに応援されていたのか、と一番驚いているのは弟かもしれません。本当にありがたいことです」と話した。今年の夏には都内で簡単な中森さんのお別れの会を開くという。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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