メッセ黒田「ブギウギ」裏話明かす「趣里ちゃんはすごく気さく」も誘い断る NHKの受信料「払ってます」
漫才コンビ・メッセンジャーの黒田有(54)がこのほど、大阪市内でよろず~ニュースの取材に応じた。1991年にあいはら雅一とメッセンジャーを結成。ピンとしても舞台、テレビ、ラジオ、ネットなど幅広く活動している。現在放送中のNHK朝ドラ「ブギウギ」での演技も高く評価される芸歴30年超のベテラン芸人が、時代の流れに対する思い、朝ドラのエピソードなどを語った。
2月23日に東京・ヨシモト∞ホールでオズワルド・伊藤俊介とのトークライブ「黒田・伊藤の喫煙所」を開催する。好評だった昨年8月に続く第2弾。「前々から伊藤の物おじしないところに興味があって。昭和生まれと平成生まれの人間って全く違うんですよね。そのギャップを怖がらずに、お客さんの前でどれだけ通用するかと」。20歳近く年の離れた後輩とイベントをはじめた意図を明かした。
「僕らがデビューした30年前に許されたものが、どんどん許されなくなってきた。昔から“五十の手習”と言いますけど、結局、自分がアップデートしないことには、世の中の流れについて行けないし、どんどん変わっていくので。取り残されるのは嫌ですし、全て流されるのも嫌なので…」。時代の流れについて行きながらも、全てに迎合したくない思いがある。
NHK朝ドラ「ブギウギ」では村山興業の東京支社長・坂口を演じる。強面ながらも情にもろく、当初はヒロイン・福来スズ子(趣里)と村山興業の御曹司・村山愛助(水上恒司)の仲を裂こうとするが、次第に応援するようになっていく。依頼があったときは二つ返事で引き受けた。「うちらの母の時代って朝ドラはすごく楽しみにしてたので。(2015年に)亡くなっていますけど、親孝行というか。誰でも出られる訳ではないですし」。幼少の頃に両親が離婚。女手一つで育ててくれた天国の母親が、喜んでいると思っている。
子供の頃からの貧乏ネタをよく引き合いに出しているだけに、NHKの受信料について気になるところだが、不払いはきっぱり否定した。「当たり前。払っています!30年くらい前からは引き落としにしていますから。若手の頃からNHKの仕事が来るかもって思ってもいましたし、仕事がないときからも払っていたんです」と強い口調で語った。
セリフも多く、重要な役。忙しい合間に台本を覚え、長時間の撮影もある。「今は戻りましたけど、体重は4キロくらい減りました。照明で昼になったり、夕方になったり全部変わるので、時差ぼけみたいな感じになっちゃったこともありましたね。みなさん、撮影中はあまり外出しないので。ただ、苦労した甲斐はあったというか、すごい現場にいさせていただいたというのはあります」。貴重な経験が役の評価につながった。
水上が演じる愛介が病死してから涙を流すシーンでは、自然と感情移入ができた。「恒司が頑張っているのが分かるんですよ。趣里ちゃんも、あの細い体で歌も踊りもセリフも覚えて、しんどいとこを見ているので。感情が出やすかったのかもしれないです。意外と良かったと言われるんですけど、僕の芝居を褒めていただけるのなら、周りに恵まれた感じですね」と共演者に感謝した。
「ブギウギ」の公式インスタグラムでは仲の良さが伝わるオフショットが投稿されている。共演者と食事に出かける機会も多い。「趣里ちゃんは“ロイヤルファミリー”(父が俳優の水谷豊、母が歌手で女優の伊藤蘭)なのに、すごく気さくで。恒司も若いんですけど、すごくしっかりしていて、正義感が強くて。そういう子が懐いてきてくれたんで」。趣里から水谷豊がカニ好きだと聞き、鳥取県にある知人の料理屋を紹介したところ、誘われたという。「ご両親と行っておいでと言ったら、『黒田さんも一緒に行きましょうよ』って言うから、いやいや、やめてくれと」。両親は自分が子供の頃からテレビで見た大スター。「緊張どころじゃなく、何もしゃべれないと思うので」とやんわりと断った。
全国放送の効果は絶大だ。街を歩いていても、以前とは周囲の目が変わった。「普通に『坂口さん』って言ってくる人がホントいますよ。この前も居酒屋で言われて。僕を知っていて、あえて言うてはるんやと思うんですけど。あんまり愛想悪くできないですよね。作品があるし、イメージもあるので」。老若男女が見る国民的ドラマでもあり、役柄とだぶらせる人も多い。
好感度が上がったことに戸惑いながらも、冷静に受け止める。「難しいですよね。上がってしまうと下がったときが…。もともと僕は好感度がないので、0点だったヤツが45点取ったら、いいみたいな感じはありますけど、それが、いつも90点取っている人が50点になっちゃうと…。だから『ブギウギ』は引っ張らないようにします。終わったら、終わったで」。役のイメージを引きずらないように、心がけていた。
これからの目標のひとつして、映画出演を挙げた。「背は低いですけど、実写版の『じゃりン子チエ』のテツをやりたいですね。(西川)のりお師匠が声をやられていたんで。趣里ちゃんがチエちゃんをやってくれへんかと思っています」とラブコールを送った。
◆黒田有(くろだ・たもつ)1970年1月29日生まれ、54歳。大阪府東大阪市出身。NSC大阪校10期生。91年4月、あいはら雅一と「メッセンジャー」を結成。2007年「上方漫才大賞」大賞をはじめ、数々の賞を受賞するなど実力派漫才コンビとして活躍。ピンとしても舞台、テレビ、ラジオ、YouTube、SNSなど幅広く活動している。
(よろず~ニュース・中江 寿)