限定ジャンケン誕生秘話も 粗品のカイジ愛が全開「ピンゾロや!カイジに勝った!!」福本伸行氏と初対面
アニメ化、実写映画化された人気漫画「賭博黙示録カイジ」シリーズの大規模展覧会「逆境回顧録大カイジ展」の開幕を翌日に控えた15日、会場のGallery AaMo(ギャラリーアーモ、東京・東京ドームシティ内)でオープニングセレモニーが開催された。お笑いコンビ霜降り明星・粗品は原作者の福本伸行氏と初対面を果たし、熱烈な“カイジ愛”を爆発させた。
「カイジ」の大ファンであるとともに、ギャンブル好きで多額の借金をしていると公言する粗品。トーク開始からテンションMAXだった。まずチェックのシャツ姿の福本氏を「服装カイジっぽいですね。このシャツにジーパンで。リアルカイジ」と笑わせ「福本先生は一番面白いです。『カイジ』シリーズはオモロすぎます。日本で一番オモロイ人、メチャクチャ面白いです。ホンマにスゴイと思っています」と思いの丈をぶつけた。
恐縮する福本氏から「つまらない時はつまらない、と言うイメージがあるから」と笑顔で感想を寄せられ、粗品は「僕は結構言います。僕が面白いと思っている人なんか芸人の先輩を含めて5人くらいしかいない。余裕で福本先生は入るくらい、日本一面白い」と返した。さらに「『アカギ』も好き」と他作品に言及し、「僕は芸人として『黒沢(最強伝説 黒沢)』で子どもの頃からハワイでカジキを釣るヤツ(仲根)がいて、それに対してのツッコミ『それは道楽の切り札。取っておけ晩年に』というセリフにしびれました。芸人になっていたんですけど、これ出えへんな、と。面白すぎます」と続けた。
福本氏は梅宮辰夫さん、松方弘樹さんらがカジキ釣りに興じる姿から「これが僕の知っている道楽の最高地点でしたね」と作品に生かしたことを明かすと、粗品は「道楽の切り札」というフレーズに改めて感心したことを口にした。
ようやく「カイジ」の話題に戻り、福本氏は「青年誌(ヤングマンガジン)に載っていますけど、骨格は少年誌っぽい。巨悪に勝ったり負けたり、結構カイジは負けちゃいますけど、悪い奴と戦う。カイジはいいやつじゃないですか。策略はするけれど、根っこはいいやつだというのがないと、読者は安心して読めない。結局コイツは嫌なヤツ、という展開にはなりませんね」と作品の土台を明かした。
粗品は「カイジ」に登場する数々のギャンブルを挙げ、福本氏に「どうやって思いついたのか」と迫った。
「限定ジャンケン」はグー、チョキ、パーのカードを制限時間内に使い切り、勝利することで得られる星が大会の「勝ち」条件であるとともに、多額での売買対象ともなり得る。1996年の連載開始時、最初のオリジナルギャンブルとして登場し、大きな反響を集めた。豪華船内での決戦、敗北者の悲惨さが描かれ、印象深い擬音「ざわ…」とともに緊迫感を高めた。
福本氏は「銀と金」(1992~96)でオリジナルギャンブルを描いていた関係で、「カイジ」開始時に「編集者との打ち合わせで『福本さんならジャンケンでも面白くできるんじゃないか』という会話があった。その次の打ち合わせの時に、普通のジャンケンだとゲーム性が生まれないけど、カードにして限られた情報にするとゲーム性が生まれる」と提案したという。さらに「船に乗ると逃げられないという怖さがある。最初にルールは1回しか言わない。それは最低限のルールで、そこから真意を見抜いていく。ルールというよりも、勝ち方、必勝法をいくつか考えて、それをどう紹介するかという物語です。カイジが星もカードもなくして追い詰められるけど、そこからどう上がっていくか」と誕生の経緯、物語上の本質を明かした。
「17歩」は変則二人麻雀。全自動麻雀卓で山を作り、互いに自分の目の前のツモ山1列分を使って、13枚を選んで聴牌を作成。手牌に使わなかった残り21枚の牌から、先手から17巡終えて流局するまで相手のロンを避けるよう切りつつ、相手の振り込みを待つ。
福本氏は「17歩は自動卓だからできる」と話したところで、司会者から展示会の紹介をするようストップが出たが、粗品は「まだまだ。ごめんなさい」と振り切って続行。福本氏は「ああいうゲームがあるんですよ。4人が集まらないときにやるということを聞いて、面白いと思いました」と明かした。
現在は「24億脱出編」が進行中の「カイジ」だが連載は休止中。粗品から「描いてくださいよ」と懇願され、福本氏は「始めた『二階堂(地獄ゴルフ)』(モーニング連載中)を頑張らないといけないんで、もうちょっと待ってください」と応じた。
ようやく展示会の話題となり、粗品は「メチャクチャ、おもろい。爆笑しながら回りました」と感想を語った。実物大フォトスポットとして立体化されたパチンコ台「沼」に感激した様子で「もうこれ傾いているんですか。上に水を置いて」と作中のエピソードを交え、「普通にパチンコを打つ姿勢だとしんどい」と、原作通り、前のめりになる姿勢を強いられる形状を、感激した様子で説明した。チンチロ、焼け土下座、愛よりも剣、などのイベント、フォトスポットを挙げながら、展示会の見どころを語った。
またも司会の制止を振り切り、粗品は「昨今はやっているデスゲーム系の作品とかある中で(カイジは)1位ですよね。他の作品見て何か思いませんか」と質問。福本氏は「集団でゲームをするはしりだと思います。特にジャンケンは」と答えた。
最後に福本氏からオリジナルイラストを贈られた粗品。カイジを相手にチンチロ勝負で大喜びする粗品が描かれており「ピンゾロや!カイジに勝った、オレ。正規のサイコロで出てる」と大喜び。まっさきに出目を口にした粗品を、福本氏は「ちゃんと見ているね、さすが」と褒めたところで時間終了。福本氏は「カイジの中の博打は部屋の中、一本橋渡るときも夜で、おおむね暗い感じの世界観。カイジの暗い中で熱い勝負をする感じが伝わってくる。原画だけとは違う楽しみがある。満足です」と語った。
粗品は「こういうイベントにしては(時間が)短い」と名残惜しい様子ながら、「原画だけでなく、沼、鉄骨、焼き土下座もある。他の展示会とは違う満足度。カイジ好きな人はもちろん、知らない人にも楽しめる。最高です」とアピールし、イベントを締めくくった。
人気漫画「カイジ」シリーズで描かれる数々の“逆境”を振り返る過去最大規模の展覧会「逆境回顧録大カイジ展」。シリーズで描かれた数々の”逆境”を、初公開を含む原画や名シーンの展示で振り返るほか、「限定ジャンケン」や「鉄骨渡り」などがフォトスポットとして登場する。会期は16日から5月12日。チケット等の詳細は公式サイトまで。
(よろず~ニュース・山本 鋼平)