現役JK王者の吏南V8防衛「どのベルトよりも面白く」「先生の指名で学級委員長に」【スターダム】
スターダムの横浜BUNTAI大会が27日に行われ、フューチャー王座戦は王者・吏南が8分57秒、ダイビングニードロップからの片エビ固めで玖麗さやかから3カウントを奪い、8度目の防衛に成功した。4月から3年生に進級した現役女子高生レスラーは、学生生活と防衛ロードのさらなる充実を誓った。
新生した横浜BUNTAIでは、プロレスこけら落としとなるビッグマッチ。その第1試合で新人の玖麗に貫禄を見せつけた吏南は、リング上で「お前の気持ちの強さは分かったが、このベルトを巻くには1億年早いんだよ、バカヤロー。また強くなった時に戦ってやるよ」と勝ち誇った。この日のメーンで極悪軍団・大江戸隊の盟友、渡辺桃がワールド王者・舞華に挑戦することを受けて「今日は大江戸隊で始まって、大江戸隊で締める。お前ら楽しめ!!」と客席に呼びかけた。17歳の達者なマイクに、大きな歓声が起こった。
試合は玖麗のドロップキック、スピアーなど感情をあらわにした攻撃、丸め込みに手こずるも払い腰、グラウンド卍固めなどでダメージを与え、最後はコーナーポストからのヒザ爆撃できっちり勝利。2018年に11歳でデビューした経験の差は明らかだった。
V8防衛を達成した吏南は「私は誰よりもこのベルトを目指してきた自負がある。だからこそ最多防衛記録を作らないといけない」と、姉の羽南が持つ10回の防衛記録更新を見据えた。ベルトへの強い思いがあるからこそ、最近の新人選手には物足りなさを感じる。自力勝利がまだない玖麗の挑戦に対して「挑戦させることが悔しい、という声はあったけれど、そこから何をする、というのはなかった。物足りないですね。他団体の若手はもっと危機感を持っている。スターダムで最近デビューした選手にはそれを感じない。デビューしたことで満足しているなら、このベルトには挑戦させたくないですね」と語った。
4月から3年生に進んだ女子高生。「入学した時は卒業まで3年もあるのか、と思ったけれど、両立は意外と楽しくて、すごく充実しています。今年も先生の指名で学級委員長になりました」。卒業後はプロレス一本で生きていくことを決めているからこそ「高校生活をもっと充実させたい。私は3年生で一番高校を楽しんでいるかもしれない」と笑った。
校内でプロレスラーであることは周知の事実という。自己紹介でも自ら明かす。「男子からプロレスラーですか、と言われたり、情報が回っているんですよ。人気者になれました。皆が知っているから、もっと頑張ろうとも思います」と励みになっている。スターダムからは学業を優先させるため、地方大会への出場を控えるなどの配慮を受けてきた。
ロッシー小川氏、ジュリア、林下詩美らがスターダムを去り、新団体マリーゴールドが5月20日に旗揚げ戦を控える。昨年末からの動きを、吏南は「オトナの世界だな、と思っていました。17歳なのに、どうしてこんなことで悩まなきゃいけないのかな」と感じていたという。小川氏には恩義を感じており「デビューできたのは小川さんのおかげです。このベルトを巻いた時にも『辞めないで良かった』と感謝を伝えました」と話した。
退団と残留で心は揺らいだ。それでも「私はチャンピオンだし、もうオトナの世界にいる。最後は自分で決めました」とキッパリ。現王者であることが、大きかった。「自分からこのベルトを手放す気は、絶対にありませんでした」と決断理由を語った。
高校最後の春。「このベルトは私を強くしてくれる。王者として、スターダムのどのベルトよりも面白くしたい。そして高校生活をもっと充実させたい」。そう言って、瞳を輝かせた。
(よろず~ニュース・山本 鋼平)