最近のパワプロ、ミート査定が厳しいのはなぜですか?【パワプロ30周年独占インタビュー】第2回「選手データ」

 2024年にシリーズ30周年を迎えた人気野球ゲーム「パワフルプロ野球」シリーズ(以下、パワプロ)。その記念作品『パワフルプロ野球2024-2025』が18日に発売される。株式会社コナミデジタルエンタテインメントの豊原浩司氏、池本健二氏、成田藤智氏、濱見太輝氏がこのほど、よろず~ニュースの取材に応じ、パワプロの“これまで”と“これから”を語った。全4回にわたる独占インタビュー。第2回のテーマは「選手データ」。

  ◇  ◇

 ミート、パワー、走力、肩力、守備力、捕球、コントロール、スタミナ…。野球選手の「基礎能力」をS、A、B、C、D、E、F、Gの8段階で評価。それに「特殊能力」を組み合わせることで、十人十色の個性を独自に再現してきた。

 当初は創設メンバーの豊原氏ともうひとりの2人で全収録選手のデータを決めていた。豊原氏は「守備走塁が僕で、投打はもうひとりのメンバーが担当していました。(主な判断材料は)いろんなスポーツ新聞を買いました。パ・リーグは当時なかなかテレビでは見られなかったので」と当時を回想する。『実況パワフルプロ野球4』(1997年発売)からは1球団に1人を配置。まさにスポーツ紙の番記者のような仕組みで、より正確なデータ化を目指した。

 30年の歴史の中では、基礎能力だけでは表現しきれない“再現に困る選手”が度々現れた。濱見氏が「特定の1球種で抑えるピッチャーがパワプロでは最も再現が難しいですね。そういうピッチャーが出てくるたびに『特殊能力』でなんとか表現できないかと」と話せば、豊原氏も「パワプロのゲームの仕組み上、球種が多いほど強くなっちゃうので」と補足した。

 例えば、90年代に横浜の絶対的守護神として君臨した大魔神・佐々木主浩投手は、ほぼストレートとフォークだけで並み居る強打者を牛耳った。しかし、いざパワプロで再現してみると「ストレートとフォークだけでは全然強くならないので、カーブ1を付けるか付けないかの議論があったと思います」と池本氏。「結局は『投手威圧感』を作りました」と新たな「特殊能力」でカバー。このような積み重ねで投打共に年々「特殊能力」の種類は豊富になっている。

 一方、打者の選手データでは史上まれに見る事態が発生している。前作『eBASEBALLパワフルプロ野球2022』の選手データ(23年レギュラーシーズン終了時)を見ると、現役選手(NPB在籍)のうち、ミート最高値は中日・大島洋平外野手の69(C)。つまり、ミートのS、A、B評価が“絶滅”しているのだ。

 これには大きく2つの要因があるという。1つはNPB全体の著しい投高打低傾向。「ミートはある程度、打率から換算して付けているところがあるので、現実のプロ野球で首位打者を取る人の打率が下がっていくと、ミートは小さくなる傾向にあります」(濱見氏)。23年の首位打者はセがDeNA・宮﨑敏郎内野手の.326、パがオリックス・頓宮裕真捕手の.307だが、ミートはそれぞれ63(C)、53(D)だ。一昔前なら考えられない「ミートDの首位打者」だが、ここにもう1つの要因が絡んでいる。

 それが先述の「特殊能力」の種類が豊富になってきたこと。つまり「特殊能力」が打率に及ぼす影響が年々高まってきたことだという。

 「昔のパワプロの方がミートのランクと打率に、ある程度の相関関係が見えやすくて、(近年は)『特殊能力』が増えてきたのもあって、『特殊能力』が付いている方が活躍したりする。『特殊能力』をつける場合はミートを下げるような調整をしないとバランスが合わないということが増えてきました」(成田氏)

 例えば、ソフトバンク・近藤健介外野手は23年、リーグ2位の.303を記録したが、ミートは57(D)。その代わり、多くの「特殊能力」(アベレージヒッター、広角打法、固め打ち、決勝打など)が付いている。濱見氏は「首位打者クラスの選手には『特殊能力』をできるだけ付けたいっていう思いはあるんですけど、それをすると.330くらい平気で打ってしまう」と説明。近藤の場合は「(ソフトバンク担当者から)特殊能力『アベレージヒッター』は残したいっていう強い思いがあって、“ミートBで『アベレージヒッター』なし”よりは良いという判断のもとですね」とミートDの理由を明かした。

 近年は2年に1度のペースで新作を発売。その間は定期的なアップデートを挟み、入退団や成績に応じたデータ更新が行われる。「では、アップデートのタイミングで『ミートB+アベレージヒッター』でも、現実味のある成績に落ち着くようにうまく調整すればいいのでは?」と口で言うのは簡単だが…。

 濱見氏は「(同作品の)途中で方針を変えづらいところがありまして、アップデートの瞬間にガラッと全体的に能力が変わってしまうのは実際には難しいんです」と説明した。

 しかし裏を返せば、新作を発売するタイミングが査定基準を見直すタイミングであるということ。最新作のミート査定について聞いてみると、濱見氏は「(首位打者クラスでミートCは)やはり迫力に欠け過ぎるだろうというのがあって、最新作ではミートの査定は見直しを図っています。例年、野球の成績まわりが変化する中で、パワプロとしてどれくらいが気持ちいいかという点は毎作見直しを図っています」とミート査定の上方修正を示唆。最新作では見直されたミート査定にも注目だ。

(よろず~ニュース・藤丸 紘生)

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