舞華が古巣JTO凱旋星!稲葉ともか下しワールド王座V6、師匠のTAKAみちのくは感謝と悔しさ語る
JUST TAP OUT(JTO)の5周年記念大会が15日、東京・後楽園ホールで行われ、スターダムのワールド王者・舞華が古巣マットがい旋を勝利で飾った。同期の稲葉ともかを相手にタイトル戦。19分26秒、みちのくドライバー2からの片エビ固めで3カウントを奪い、6度目の防衛に成功した。
“故郷”の懐かしい顔ぶれが集った大会で、女子団体最高峰の王者に成長した姿を誇示した。空手仕込みの厳しい打撃、関節技に苦しんだ。側頭部へのキックでは意識が飛びかけたが、雪崩式からのブレーンバスター4連発などパワーを前面に出し反撃。最後はラリアットからのみちのくドライバー2を連射し、決着をつけた。
かつて姉貴分と慕われた相手。泣きじゃくる稲葉を前に「これが私の同期であり、ライバルの試合だ。私が勝ったけど、スリー取られたかと思った」と相手をたたえ、「ともか、泣き虫は直らないな。でも強くなったな。私のレベルまで来たってこと」と、稲葉も参加する8月開幕のスターダムのシングルリーグ戦、5★STAR GPでの奮闘を期待した。
稲葉は「舞華ちゃんがJTOを去ってから約4年。本当に悔しかった。周りの皆が舞華、舞華ばかりと言って、今も代表(TAKAみちのく)が舞華、舞華と言って、すごく悔しかった。だから舞華を超えたかった」と複雑な胸中を吐露。それでも「きょうは負けちゃったけど、必ずぶっ倒すから」と前を向いた。
最後は代表のTAKAみちのく、そしてKANON(DDT)、綾部蓮(全日本)、田村ハヤト(GLEAT)ら、記念大会に集結した縁深い出場選手全員でリングに上がり、代表を胴上げして大団円を迎えた。
バックステージで舞華は「試合が決まった時、ファンの方は『ともかじゃ力不足』とか言っていましたが、どうでした。強いでしょ?だから5★STARにも来るんですよ」と一部で批判的な声が寄せられた対戦の意義を強調。「まだまだ他の団体には刺激的で格好良くて強いヤツがあふれている。そういう人たちと戦って防衛したい」と、外部からの挑戦を歓迎。「ここは私のホームです。きょうは敵として来たけれど、また帰ってきます」と語った。
稲葉は「舞華はでかい壁でした。強くてパワーもすごい、体もすごい、かわいいし、キレイだし、ポジティブだし…ともかと正反対。でも『ライバル』と言ってくれた。悔しいけれど、うれしいです。次だよ。舞華ちゃんだったら『次だよ』って言うはず。5★STARで優勝して、舞華の前に立ちます」と、次の戦いを見据えた。
TAKAみちのくは「この5年間でいろんな選手が巣立っていきましたけど、こういう大きな大会では集まれる関係性を築きたかった。大会が決まって舞華にもオファーを出しましたけど、タイトル戦になるとは考えていなかった。最高の形での里帰りですよね」とうなずいた。
舞華は2019年5月7日の下田美馬戦でデビューし、翌年7月限りでスターダムに移籍したため、在籍期間は1年強に過ぎない。“師匠”と敬意を抱かれることにTAKAは「オレが教えたのはみちのくドライバーくらいで、試合を見たのは技を教えた直後だけかな」と謙そんしつつ「それ以降は見に行かなくても情報は入ってきた。トップの団体で活躍していますからね」と目を細めた。
舞華とは初対面で強烈な印象を持った。「福岡で出会ったときから『なんだコイツは』というものがありました。まだ一ファンの時点で、ある選手(林下詩美)をライバル視して、絶対倒してやる、と豪語していた」と、その気持ちの強さを回想。デビュー前を思い返し「女子の練習では物足りなくて、男子の中に入って練習していました。受け身に関しては十何年やっていた柔道のクセが、あっという間に直った。上京1カ月でエキシビション、2カ月でデビューして下田美馬に勝っていますからね」と、そのセンスに舌を巻いた。「僕の中ではまだまだ通過点だと思っています」と、さらなる飛躍を期待していた。
この日のタイトル戦に関しては「ともかは『行けた』、というシーンは作ったんですけど…悔しいですね」と好勝負をたたえたTAKAみちのく。そして「それ以上に悔しいのが、せっかくあれだけの試合をしてくれたのに、これだけのメンツがそろったのに、集客が700いかなかったこと」と続けた。
この日の観衆は695人にとどまった。関係者によるとKAIENTAI DOJO時代から、装飾を行わない実数発表を守り続けているTAKA。前回の後楽園大会よりは動員が増えたが「今回は1000人行くと思ったが…会社の力、社長の宣伝不足、営業不足だと思う。後楽園くらいは満員にして、試合をさせてやりたい。悔しいですね」と自身への厳しい言葉を並べ、選手をねぎらっていた。
(よろず~ニュース・山本 鋼平)