清潔の基本は「手洗い」あるのみ アルコールスプレーだけではダメ!食中毒防ぐため再度確認を 医師が語る
コロナが蔓延している昨今ですが、外出の機会は増え、外食の機会も増えているのが実情だと思います。その際に気を付けて頂きたいのが食中毒です。
私も外食の機会が増えています。最近はオープンキッチンも増え、料理をしているところが見えるのは、料理が来るまでの待ち時間をさらに楽しくするという絶妙のスパイスになり、料理がさらにおいしくなります。
しかしながら、非常に残念なお店があるのも事実です。コロナが流行してから手袋をする習慣が、料理人にもかなり進んだと思います。それでも、清潔、不潔をまったく理解していない人はいるようです。
料理人が手袋をしたままレジをしたり、お金を触ったりして、そのまま手洗いをせず手袋も交換せずに料理をしたり、顔や上半身を触って、あるいは汗を拭って料理をしたりなど、信じられない行為を目にします。顔、髪の毛、お金などは、かなり不潔な部分なのです。手袋をするのは衛生のためではなく自分の手を守るため?と勘違いしているのでは思えるケースもあります。もちろん、これは飲食店に限らず、家庭でも同じことです。
また、医療現場で看護師などが同じような"間違い"をしているのを見ることがあります。開いた口が塞がりません。医療従事者でさえ、清潔、不潔の観念を理解していないことがあるのです。清潔の基本は「手洗い」です。手袋をして、様々な部分に接触したのちに医療行為、料理をするのはもってのほかです。
また、よく勘違いされているのが、アルコールスプレーをすれば清潔になるということです。アルコールスプレーはすべての細菌、ウィルスを死滅させませんし、極端な話をすればウィルス、細菌の死骸が手に残っているとも考えられます。繰り返しになりますが、清潔の基本は洗浄、すなわち「手洗い」なのです。医療従事者も含めて、再度、確認しなければならない重要事項です。
先日も、ある弁当を食して、食中毒となり、亡くなられた気の毒な方がおられました。特殊なケースなどとは考えてはダメです。このような惨事が起こらないことを祈るばかりです。
◆谷光利昭 兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。外科医時代を経て、06年に同医院開院。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。