あの松下(現パナソニック)がゲーム機を出していた!発売30周年の「3DO REAL」は“革命的”存在だった
1994年3月20日、家電メーカーとして知られる松下電器産業(現パナソニック)から画期的な家庭用ゲーム機「3DO REAL」が発売された。今年で30周年を迎えた本機は、当時のゲーム業界に大きな衝撃を与えた先駆的な存在だった。
「Panasonicがゲーム機を作っていたの?」と驚く人もいるなか、本機の名称を聞いて懐かしく感じる人も少なくないだろう。そこで3DO REALがどのようなゲーム機だったのかを振り返ろう。
3DO REALは、アメリカの3DO社が開発した32ビットマルチメディア端末の統一規格「3DO」に基づいて製造されたゲーム機だ。この時代の主流は16ビット機のスーパーファミコンやメガドライブであり、32ビット機の登場は革命的だった。
32ビットRISC CPUを搭載した3DO REALは、CD-ROMドライブを採用し、高品質な3Dグラフィックスだけでなく音楽CDやフォトCDの再生ができるマルチメディア端末だ。その高性能ぶりからコアなゲームファンの間で大きな話題となり、さらに注目のゲームタイトルが登場することで、より一層の注目を集めていく。
たとえば、対戦型格闘ゲームの代表作といえる「ストリートファイターII」の最新作「スーパーストリートファイターII X」は、家庭用ゲーム機では3DO REALで先行発売された。
また、42歳という若さで亡くなったゲームクリエイター飯野賢治氏が、当時手掛けた画期的なアドベンチャーゲーム「Dの食卓」も3DO REAL用ゲームとして発売された。本機の性能の高さを生かした映画的な演出に、当時のゲーマーは驚かされたことだろう。
これだけ話題のゲームが発売された3DO REALだが、成功は長くは続かない。同年にセガサターンやプレイステーションが発売されると、3DO REAL人気に陰りが見え始めるのだ。市場競争の激化と日本市場向けのタイトルが少なかったことなどの要因から、1996年には日本国内でのソフト販売が終了してしまうことになる。
3DO REALは、商業的に成功を収めたといえないかもしれない。ただCD-ROMの採用やマルチメディア機能の搭載など、後のゲーム機に与えた影響は大きい。3DO REALで培われた技術や経験は、決して無駄ではなかったのだ。
もしかしたら発売当時に3DO REALを所有していた人は、決して多くはなかったかもしれない。それだけに、この先駆的なゲーム機を手にした人たちは熱い想いを持っていたことだろう。30年の時を経た今3DO REALを振り返ることで、ゲーム産業の進化の速さと技術革新を実感させられる。
(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)