ダマされ不倫!鈴木紗理奈は相手男性に法的責任を問えるのか?弁護士が解説「貞操権を奪う行為として…」
タレント鈴木紗理奈がCBC・TBS系「ゴゴスマ」に生出演し、文春オンラインで報じられた妻子ある男性との不倫について認め、涙で声を震わせながら「申し訳ありません」と謝罪した。紗理奈は男性から離婚歴があり子供はいるものの独身であると聞かされ、文春の取材で既婚者と知ったと話し、不倫関係は清算すると述べた。相手の言葉を信じた結果の不倫。法的問題について、かつて歌手デビューを果たし芸能界にいた平松まゆき弁護士にQ&A方式で解説してもらった。
Q 通常の不倫なら配偶者が不倫行為者に慰謝料請求ができると思いますが、今回はどうなのでしょうか?
A 一般論ですが、仮に夫婦の双方に離婚意思があって離婚協議をしているような状況であれば、婚姻関係はすでに破綻していると言えます。長く別居していればなおさらです。このような状況下であれば夫または妻に新しい交際相手ができても慰謝料は発生しません。
Q 本件において、妻は男性の帰りを待っているとも伝えられていますが、そうした場合はどうなりますか?
A 別居中であってもまだ日が浅いとか、夫婦の一方が勝手に出て行っただけなら話が違ってきます。問題なのは、こうした状況を不倫相手がどのように認識していたかです。実務でもしばしば既婚者と交際することについて不倫相手に「過失」があったかどうかが問題となります。
過去の裁判例では、お見合いパーティーに参加していた男性と交際をしたが実は男性は既婚だったというケースで、女性の過失を否定しました。お見合いパーティーといえば独身であることが大前提ですから無理もないというわけですね。
あるいは、既婚ではあるけれども妻(夫)との関係はとっくに冷めていて家庭内別居である等との説明を受けたというケースもよくあります。しかし単にその言葉を信じたという程度では過失は否定されません。「妻(夫)と近く離婚する」というのは不倫したい人間の常套句ですから安易に信じてはいけないということでしょう。
今回のケースでは紗理奈氏が、相手の男性が独身であることを信じるに足るどれくらい相当な事由があったかどうか、どれくらい無理もないと言えるかどうかですかね。居住環境、共通の人間関係、交際期間などの客観的状況から「この人結婚してるんじゃないか」と疑うべきシーンがどれくらいあったかで過失の有無が決まると思われます。そういったシーンがなく、紗理奈氏が相手を信じたのは致し方ない、「過失無し」となれば慰謝料は発生しないということになります。
Q 紗理奈氏は男性に慰謝料を請求することはできるのでしょうか?
A 独身であると嘘をついて交際をしたなら、貞操権(性的意思決定の自由)を奪う行為として慰謝料請求を検討することはあり得ます。また、仮に男性の妻から慰謝料請求をされ支払いを余儀なくされた場合には、男性に対して「求償権」を行使して、支払った額の半分またはそれ以上の金銭請求を検討することもあり得ます。
弁護士。大分県別府市出身。12歳のころ「東ハトオールレーズンプリンセスコンテスト」でグランプリを獲得し芸能界入り。17歳の時に「たかが恋よされど恋ね」で歌手デビュー。「世界ふしぎ発見!」のエンディング曲に。20歳で立教大学に入学。芸能活動をやめる。卒業後は一般企業に就職。名古屋大学法科大学院入学。15年司法試験合格。17年大分市で平松法律事務所開設。ハンセン病元患者家族国家賠償訴訟の原告弁護団の1人。