「静かにして!」と録音した思い出…押し入れや屋根裏に眠るカセットテープを現代技術で蘇生してみた
今や音楽はスマホで持ち歩く時代。かつてのように携帯プレーヤーを持っているという人を見かける機会は減っている。一方で、カセットテープの生産数は増加しているというニュースも目にする。そこでカセットテープにまつわる思い出を振り返り、最新のカセットプレーヤーの傾向も見ていこう。
カセットテープ全盛時代、テレビで放送される音楽番組は好きなアーティストの歌声を録音する一大イベントだった。テープレコーダーをテレビに向け、雑音が入らないように息をひそめて曲が流れるのを待つ。そんな時に限って親から「宿題したの?」などと言われ、録音が台無しになった経験を持つ人も多いだろう。「静かにして!」と叫んだ自分の声まで録音されてしまった思い出は、今となっては笑い話である。
またカセットテープを使い込むと、テープが伸びてしまうことがあった。最悪の場合、テープが切れてしまい、大切な音源が失われる悲劇も珍しくない。テープを丁寧に扱うことの重要性を、身をもって学んだ世代も多いはずだ。
その他、カセットテープの爪についても思い出がある人は多いのではないだろうか。カセットテープの爪は折ることで上書き録音を防げる。しかし爪を折っていない状態のお気に入りのテープを知人に貸して、返ってきたときに「ごめん、間違えて上書き録音しちゃった」と言われ、喧嘩に発展してしまうのだ。
若い頃に使っていたカセットテープを今も保管している人もいるだろう。そんな人に使ってほしいのが近年のポータブルカセットプレーヤーだ。機種によっては、カセット音源をMP3などのデジタル音源に変換できるモデルが登場している。これにより、大切な音源をデジタル化して保存することが可能となった。
また、Bluetooth対応モデルのプレーヤーも存在する。これによりワイヤレスイヤホンでカセットテープの音楽を楽しめる。レトロな音源を最新のデバイスで楽しむという、新旧融合の体験が可能となっている。
カセットテープへの注目が集まってる理由として、デジタル全盛の現代だからこそ、カセットテープのアナログ音源特有の温かみや柔らかさが再評価されている点があげられる。多少のノイズが入っているなど完璧すぎない音質が、逆に心地よく感じられるのかもしれない。
さらにカセットテープには、単なる音源以上の価値がある。録音した当時の思い出や、テープを作成した際の苦労など、さまざまな記憶が詰まっている。懐かしいカセットテープを取り出して再生すれば、音源だけでなく同時に当時の思い出を振り返る体験となるだろう。
年末年始の帰省の際には、カセットテープを捜し出して、久々に思い出にふけってみてはどうだろうか。最新のカセットプレーヤーを使えば、デジタル化して保存することも可能である。かつての音楽体験を現代に蘇らせ、新たな形で楽しむ。そんな贅沢な時間を過ごしてみるのも良いだろう。
(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)